資料No. 04-4
報告書タイトル コンクリート構造物の高性能化に関する調査・研究
委員会名 コンクリート構造物の高性能化研究委員会
委員長名 小林和夫(大阪工業大学 工学部 都市デザイン学科)
活動期間 平成13年4月〜平成16年3月
発行年 平成16年8月1日

報告書目次

第1編 A班(材料・構造研究分科会)
 PC構造物の材料,および構造の高性能化に関する調査・研究

 1.まえがき
 2.コンクリート材料の高性能化
  2.1 概要
  2.2 高性能化の現状と課題
   2.2.1 高強度化
   2.2.2 軽量化
   2.2.3 環境評価
  2.3 試設計パラメーター
  2.4 試設計モデル
   2.4.1 上部工
   2.4.2 下部工
  2.5 組み合わせ検討ケース
  2.6 検討結果
   2.6.1 上部工試設計結果
   2.6.2 下部工試設計結果
   2.6.3 経済性比較検討結果
   2.6.4 環境比較検討結果(CO2排出量)
  2.7 まとめ
 3.時間軸に沿った性能評価の方法
  3.1 概要
  3.2 文献調査
   3.2.1 調査概要
   3.2.2 グラウト不良による破断現象
   3.2.3 PC鋼材の遅れ破壊
   3.2.4 まとめ
  3.3 詳細劣化評価手法による試算例
   3.3.1 検討方針
   3.3.2 PC桁の塩害による劣化進行過程のモデル化と劣化予測
    3.3.2.1 対象構造物の初期条件
    3.3.2.2 評価の概要
    3.3.2.3 PC鋼材の腐食劣化
    3.3.2.4 PC鋼材の破断現象
    3.3.2.5 PC鋼材の一様腐食・破断現象と部材性能の関係づけ
   3.3.3 PC桁橋の安定性評価
    3.3.3.1 検討方法
    3.3.3.2 発生断面力の変動
    3.3.3.3 安全性の評価
   3.3.4 まとめ
  3.4 評点法によるPC橋の簡易性能評価
   3.4.1 評点法の概要
    3.4.1.1 評点法とは
    3.4.1.2 計算方法
   3.4.2 外観目視調査への適用性の検討
    3.4.2.1 調査1
    3.4.2.2 調査2
   3.4.3 まとめ
 4.人工軽量骨材を用いた土木構造物の実構造調査
  4.1 人工軽量骨材を用いたPC橋の施工実績
  4.2 実橋調査
   4.2.1 A架道橋およびB架道橋の概要
   4.2.2 調査方法
   4.2.3 調査結果および考察
   4.2.4 まとめ
  4.3 配合試験に基づく実橋の強度推定
   4.3.1 配合
   4.3.2 円柱供試体における超音波伝播速度と圧縮強度の関係
   4.3.3 A架道橋桁コンクリートの推定強度
  4.4 同種構造物の今後の維持管理のあり方
   4.4.1 経年劣化状況の推定
   4.4.2 初期点検項目および劣化予測のためのモニタリング項目
   4.4.3 まとめ
 5.あとがき
 付録:文献一覧表


第2編 B班(断面・構造形式研究分科会)
 PC複合トラス橋に関する調査・研究


 1.まえがき
 2.モデル橋梁の設定
  2.1 複合トラスの定義
  2.2 検討モデル橋梁
 3.主方向力学特性の検討
  3.1 トラス形式による部材断面力の相違
   3.1.1 平面骨組解析モデル
   3.1.2 検討ケース
   3.1.3 トラス形式による相違
   3.1.4 桁高および格点間隔による相違
  3.2 プレストレスの伝達機構
   3.2.1 プレストレスカの算定手法の検討
   3.2.2 閉合鋼材モデルについての検討
   3.2.3 架設鋼材モデルについての検討
  3.3 PC複合トラス橋の変形に関する検討
   3.3.1 検討モデル
   3.3.2 計算結果
   3.3.3 考察
 4.横方向力学特性の検討
  4.1 格点支持床版の力学特性
   4.1.1 解析方法
   4.1.2 曲げモーメント特性
  4.2 縦桁を有する格点支持床版の力学特性
   4.2.1 解析モデルおよび検討ケース
   4.2.2 曲げモーメント特性
 5.格点部の調査
  5.1 概要
  5.2 格点部の事例
  5.3 格点部の要求性能
 6.あとがき
 付録:調査文献一覧およびPC複合トラス橋文献抄録集


第3編 C班(設計法研究分科会)
 PC構造物の耐震設計に関する調査・研究


 1.まえがき
 2.設計モデルの選定
  2.1 目的
  2.2 前回研究委員会の成果
  2.3 文献調査
  2.4 試設計モデル
 3.PCラーメン橋
  3.1 検討概要
   3.1.1 概要
   3.1.2 検討方針
  3.2 PC上部構造の非線形特性の把握
   3.2.1 破壊過程
   3.2.2 履歴特性
   3.2.3 復元力モデル
  3.3 試設計条件及び比較項目
   3.3.1 設計対象橋梁
   3.3.2 上部構造の再設計
   3.3.3 試設計条件
   3.3.4 試設計解析共通条件
   3.3.5 比較検証項目
  3.4 従来設計手法による試設計
   3.4.1 設計概要
   3.4.2 上部構造のモデル化
   3.4.3 上部構造の曲げ安全性照査
  3.5 今回設計手法による試設計
   3.5.1 設計概要
   3.5.2 上部構造のモデル化
   3.5.3 上部構造の曲げ安全性照査
  3.6 試設計及び比較検討結果と考察
   3.6.1 試設計及び比較検討結果
   3.6.2 考察
 4.PC橋脚
  4.1 検討フロー
  4.2 PC橋脚の特徴
   4.2.1 基本的性状
   4.2.2 解析モデル
  4.3 解析共通条件
   4.3.1 検討条件
   4.3.2 許容値
  4.4 RC橋脚の解析
   4.4.1 検討条件の見直し
   4.4.2 検討断面
  4.5 PC橋脚の解析
   4.5.1 解析モデル
   4.5.2 解析手法
   4.5.3 検討断面
  4.6 解析結果及び考察
   4.6.1 青木モデルのPC橋脚解析結果
   4.6.2 耐力分担化
   4.6.3 施工費
   4.6.4 橋脚高
   4.6.5 今後の課題など
 5.あとがき
 付録:文献一覧表


第4編 D班(有効利用研究分科会)
 浮体橋(フローティングブリッジ)の設計手法に関する調査・研究


 1.まえがき
 2.浮体橋の概要
  2.1 浮体橋の特徴
  2.2 海上横断構造物の比較
  2.3 浮体橋の一般的分類
  2.4 部立・名称
 3.浮体橋の現状
  3.1 調査概要
  3.2 調査対象
  3.3 調査結果
  3.4 まとめ
 4.浮体橋の設計
  4.1 浮体橋設計の基本
   4.1.1 基本理念
   4.1.2 供用期間
   4.1.3 重要度の考え方
   4.1.4 設計の基本方針
      (1) 要求性能の設定
      (2) 要求性能の確保
      (3) 要求性能の照査
   4.1.5 構造計画
  4.2 荷重
   4.2.1 荷重の種類
   4.2.2 荷重
   4.2.3 荷重の組み合わせ
  4.3 浮体橋特有の設計項目と解析
   4.3.1 限界状態
      (1) 限界状態
      (2) 工学的指標
   4.3.2 設計項目と解析
      (1) 安定性
      (2) 変位設計
      (3) 走行安定性
      (4) 疲労評価
      (5) 地震
      (6) 全体構造解析
  4.4 浮体橋の設計
   4.4.1 設計一般
   4.4.2 橋体部の設計
   4.4.3 浮体部の設計
      (1) 安定性の検討
      (2) 設計波浪の算定
      (3) 設計断面力の算定
      (4) 浮体部の試設計
  4.5 添付資料
   4.5.1 用語集
   4.5.2 動揺解析
 5.防食方法(手法、材料)
  5.1 概要
  5.2 電気化学的工法
  5.3 新素材
 6.あとがき


報告書全体概要

 今日の重要な社会基盤施設を形成するコンクリート構造物の構築や維持管理に果たすプレストレストコンクリート(PC)技術の役割は非常に大きい。
 本研究委員会は,コンクリート構造物の高性能化手法とその有効利用法としてのPC技術に着目し,調査研究を行うことを目的として平成13年度に活動期間3年間ということで発足し,本年3月に終了した。
 本研究委員会は,学識委員5名を含む約40名の委員で構成され,4分科会を設置して種々の 観点から調査研究を行ってきた。
 材料・構造研究分科会(A班)においては,@高性能化,A性能評価,B実構造調査の3グル ープを設けて軽量化,高耐久化,高強度化などの材料的側面からPC構造の高性能化について研究した。@では,PCコンポ橋を対象とし,材料強度,粗骨材比重,支間長,下部工脚高,基礎 工形式をパラメータとして試設計を行い,経済性や環境への影響などを指標として高性能化の評価を試みた。Aでは,PC構造の塩害による劣化に着目し,PC鋼材の遅れ破壊を考慮したPC桁の性能評価,および桁剛性のばらつきを考慮したPC多主桁の安全性評価の観点から時間軸を考慮した性能評価を試みた。Bでは,軽量コンクリート橋について超音波伝搬速度とたわみ測定を行って経年特性を検討するとともに,調査橋と同種の軽量骨材コンクリート供試体を作成して超音波伝播速度と圧縮強度との相関に関する基礎資料を収集した。
 断面・構造形式研究分科会(B班)においては,トラスウエブを有するPC複合トラス橋に着目し,実務設計者が本構造形式を計画するうえでの参考資料の作成を目的として,@PC複合トラス橋の文献調査,A主方向の特性(トラス形式による力学特性の比較,プレストレス伝達機構や変形の検討),B横方向の特性(点支持された上床版の設計手法の検討),C格点部の構造(形式,構造特性,施工性等の検討)の4項目について調査研究を行った。
 耐震設計法研究分科会(C班)においては,PC構造に対する合理的な耐震設計法を検討するため,まずPC橋を対象として耐震設計に関する既往資料を調査,整理した。次いで,PC橋脚とPCラーメン橋に着目して試設計を実施し,その結果に基づいて現行耐震設計法における重要課題を抽出するとともに,適切な耐震設計法の提案を行った。試設計に際しては,動的解析を基本とした耐震性能の照査やコスト等を対象としたパラメータ解析を実施した。
 有効利用研究分科会(D班)においては,PCを有効に利用できる新分野の一つとして浮体橋に着目し,@諸施工事例の調査,A浮体橋の設計条件や設計方法の整理,B外的条件(波高,流速,水深など)の設定と浮体橋の試設計,C防錆方法(手法,材料)の調査,などを行った。
 本報告書は,コンクリート構造物の高性能化を目的として実施した3年間にわたる調査研究活動の成果を取りまとめたものである。研究成果をまとめるにあたり,多大の御協力をいただいた委員の方々に深甚の謝意を表するとともに,本報告書が今後の実務に有効に活用され,コンクリート構造物の高性能化や合理化に寄与することを望むものである。

 平成16年3月
コンクリート構造物の高性能化研究委員会
委員長  小林 和夫


委員名簿

No. 所属 名前
1 大阪工業大学 工学部 都市デザイン学科 小林 和夫
2 大阪工業大学 短期大学部 土木工学科 梶川 靖治
3 立命館大学 理工学部 土木工学科 高木 宣章
4 中部大学 工学部 土木工学科 平澤 征夫
5 神戸大学 工学部 建設学科 森川 英典
6 オリエンタル建設 杉原 謙二
7 潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支社 大内 隆志
8 川田建設梶@大阪支店 技術部 設計課 大久保 孝
9 葛エ梁コンサルタント 大阪支社 技術部 加藤 雅弘
10 極東工業梶@大阪支店 技術部 西村 一紀
11 褐嚼ン企画コンサルタント 構造設計部 原口 太輔
12 褐嚼ン技術研究所 大阪支社 道路・交通部 美濃 智広
13 轄ヲr組 土木本部 技術部 (特殊設計担当) 狩野 裕之
14 国際航業梶@国土マネジメント事業本部 道路交通部 関西橋梁チーム 宮崎 雅史
15 サンライズエンジニアリング梶@技術部 坂峯 和徳
16 ジェイアール西日本コンサルタンツ(株) 土木設計部 高架三課 瀧本 昌一
17 JlPテクノサイエンス梶@大阪テクノセンター 上野 恵美
18 鰹C成建設コンサルタント 構造部 構造一課 野尻 保
19 椛詩技術コンサルタント 大阪支社 構造設計室 牧田 淳二
20 大日本コンサルタント梶@中部支社 構造計画室 安川 仁敏
21 大和設計梶@技術第二部 高江 公愛
22 中央復建コンサルタンツ梶@保全技術系グループ 海本 健司
23 中央復建コンサルタンツ梶@道路・トンネル系グループ 今道 洋
24 樺キ大 大阪支社 第一構造技術部門 吉永 俊介
25 叶迹纉cコンサルタント 大阪支店 秋山 芳幸
26 鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店 技術一部 福嶋 正雄
27 東洋技研コンサルタント梶@技術第二部 田代 信雄
28 内外エンジニアリング梶@大阪支社 土木技術部 熊川 脩二
29 潟jチゾウテック 第1技術部 白倉 篤志
30 日本技術開発梶@大阪支社 構造・橋梁部 山森 誠史
31 日本建設コンサルタント梶@大阪支社 技術二部 第四課 牛島 忠史
32 JlPテクノサイエンス梶@構造技術部 第2グループ 中島 照浩
33 潟jュージエック 交通・道路部 橋本 欣也
34 潟oウエンジニアリング 橋梁設計グループ 多田 貴久
35 パシフィックコンサルタンツ梶@大阪本社 交通技術部 構造グループ 金沢 吉彦
36 轄辮_コンサルタンツ 神戸支店 園田 勝
37 潟sーエス三菱 大阪支店 土木技術部 伊藤 祐一
38 ピーシー橋梁梶@大阪支店 技術部 西口 裕之
39 兜x士ピー・エス 大阪支店 設計課 西  弘
40 不動建設梶@大阪本店 土木技術部 堀岡 良則