資料No. | 06-3 |
報告書タイトル | 斜面安定評価における劣化概念の導入 |
委員会名 | 斜面防災研究委員会 |
委員長名 | 沖村 孝(神戸大学都市安全研究センター教授) |
活動期間 | 平成15年4月〜平成18年3月 |
発行年 | 平成18年7月1日 |
報告書目次
委員会活動概要
1.委員会名簿
2.委員会活動
2.1 全体委員会活動
2.2 見学会
2.3 分科会活動
第1編 のり枠工の変上と地山劣化調査方法の提案(調査分科会)
1.研究概要
1.1 研究テーマの設定
1.2 研究概要
1.3 地山劣化の定義
1.4 研究
2.実施方針
3.のり面対策工アンケート
3.1 アンケート調査
3.1.1 調査目的
3.1.2 調査内容および調査方法
3.2 アンケート結果
3.2.1 回答事例(結果)の概要
3.2.2 アンケート結果より想定される「のり枠工」の適用性等について
3.2.3 追加調査による斜面変状のタイプと変状原因
3.2.4 アンケート結果より得られた知見(考察)
3.2.5 回答事例(結果)の概要
3.2.6 回答事例(結果)の概要
4.のり枠工の変状の実態
4.1 枠工の変状
4.1.1 変状現象
4.1.2 枠の変状
4.1.3 枠内裸地部の変状
4.1.4 枠工と地山の分離・崩落
4.1.5 変状原因
4.2 豪雨時ののり枠工の変状
4.2.1 国道9号線災害の事例
4.2.2 国道26号線BPの事例
4.2.3 淡路島の事例
4.2.4 豪雨時ののり枠工被災の特徴
4.3 地震時ののり枠工の変状
4.3.1 のり面構造物の地震による被害状況
4.3.2 被害事例
4.3.3 地震時ののり枠変状の被害分析
5. 地盤劣化に関する既往の研究と切土のり面の劣化調査方法の提案
5.1 地山劣化に関する研究
5.1.1 地山掘削に伴う緩みの研究
5.1.2 風化に伴う地山劣化
5.2 地山劣化に対する調査方法の提案
6.あとがき
第2編 時間項を評価した新たな解析手法の提案(解析分科会)
1.まえがき
2.斜面の性能とは
2.1 概説
2.2 斜面性能の設定
2.3 限界状態の設定
2.4 斜面性能の考え方
2.5 これからののり面設計
3. 斜面安定の影響要因
3.1 概説
3.2 外的要因
3.2.1 自然環境要因
3.2.2 対策工要因
3.3 内的要因
3.3.1 風化と変質
3.3.2 地形因子
3.3.3 地質因子
3.4 不安定化要因の影響度
3.4.1 対策工要因
3.4.2 内的要因
3.5 不安定化要因の定量評価
3.5.1 対策工要因の定量評価
3.5.2 内的要因の定量評価
4.時間項を評価した解析手法の提案
4.1 概説
4.2 時間項を評価した解析手法
4.2.1 斜面の性能指標と時間関係
4.2.2 斜面安定解析の現状
4.2.3 既往の解析手法
4.3 例題による時間項を評価した解析
4.3.1 自然斜面の解析例
4.3.2 硬岩切土のり面の解析例
4.3.3 軟岩切土のり面の解析例
5.あとがき
第3編 斜面リスク評価の手法と現状の課題抽出(リスク分科会)
1.研究の概要
1.1 はじめに
1.2 リスク評価
1.2.1 リスク評価の目的
1.2.2 斜面の維持管理におけるリスク評価
2.リスクの概念
2.1 リスクの概念
2.1.1 現状でのリスクの定義
2.1.2 リスクの表現方法
2.1.3 金属工学におけるリスク
2.1.4 建設分野におけるリスク
2.2 リスクマネジメント
2.2.1 リスクマネジメントの概念
2.2.2 リスクマネジメントの手順
2.2.3 リスクへの対応
2.2.4 道路斜面におけるリスクマネジメント
3.斜面リスク評価手法
3.1 リスク算出の手順
3.1.1 リスクカーブの算定手法
3.2 降雨ハザードの発生確率の算定
3.2.1 ハザードの設定
3.2.2 確立雨量の計算
3.3 破壊確率の算出
3.3.1 解析的手法による斜面破壊確率の算定
3.3.2 統計的手法による斜面破壊確率の算定
3.4 損失(C)の算出
3.4.1 損失の種類
3.4.2 損失の算定
4.モデルケースによるリスク算定事例
4.1 解析条件
4.1.1 モデル斜面
4.1.2 道路・交通条件と迂回路
4.2 降雨ハザード
4.2.1 ハザードの設定
4.2.2 確立雨量の計算
4.2.3 斜面内水位の予測
4.3 フラジリティ曲線
4.4 損失計算
4.4.1 損失の算定式
4.4.2 損失計算の例
4.4.3 全モデル斜面の計算結果
4.5 リスク評価
4.5.1 リスク計算結果
4.5.2 降雨条件によるリスクの相違
4.5.3 変動係数によるリスクの相違
5.斜面リスク評価における課題
5.1 評価手法における課題
5.2 性能低下モデルによるリスク算定
5.3 性能低下を考慮した累積リスク評価
参考文献
第4編 鉄筋補強土工法の設計における課題と劣化へのアプローチ(対策/施工分科会)
はじめに
1. 斜面対策工の整理
1.1 概要
1.2 斜面対策工の整理
1.2.1 対象斜面
1.2.2 斜面対策工の分類
1.3 地山補強土工法の整理
1.3.1 地山補強土工
1.3.2 工法の分類と適性
1.3.3 のり面工との組み合わせ
1.3.4 施工の概要と削孔方式の選定
2. 補強土工設計における課題抽出
2.1 補強土工設計についてのアンケート調査
2.2 補強土工設計についてのアンケート結果
3.鉄筋補強土工設計における感度分析と劣化へのアプローチ
3.1 概説
3.2 パラメーターの設定
3.2.1 設計におけるパラメーター
3.2.2 劣化に関するパラメーターの設定
3.3 感度分析と計算モデル
3.4 安定解析方法
3.5 感度分析結果
3.5.1 補強材径の影響度
3.5.2 打設角度の影響度
3.5.3 削孔径の影響度
3.5.4 のり面工低減係数μの影響度
3.5.5 感度分析のまとめ
3.6 劣化へのアプローチ
3.6.1 鉄筋補強土における劣化の要因
3.6.2 感度分析からの考察
3.6.3 維持管理における着目点の整理
4. 斜面対策工設計における性能規定設計の導入について
4.1 概説
4.2 アンケート調査
4.3 アンケート結果
4.4 斜面対策工に要求される性能の規定
4.4.1 斜面対策工に要求される性能
4.5 補強土工法における性能設計
4.5.1 概説
4.5.2 斜面対策工の限界状態
4.5.3 補強斜面の変形解析例
4.5.4 地震時の補強斜面の変形解析例
あとがき
第5編 道路切土法面構造物の変状を早期に発見するための点検手法の提案(維持管理分科会)
はじめに
1. 維持管理の現状と課題
1.1 維持管理の現状の把握
1.1.1 道路管理者の維持管理
1.1.2 法面構造物指針の維持管理
1.1.3 防災カルテについて
1.1.4 委員会アンケート調査結果
1.2 現状のまとめと課題整理
1.2.1 維持管理の現状のまとめ
1.2.2 課題整理
1.3 課題解決への一提案
2. 維持管理を目的とした対象構造物
2.1 対象構造物の範囲
2.2 対象とする切土法面構造物の種類と特徴
3. 変状の早期発見のための点検方法
3.1 変状の要因別整理
3.1.1 崩壊の要因
3.1.2 災害事例
3.1.3 災害事例からの教訓
3.1.4 構造物毎の点検項目
3.1.5 構造物毎の要因別整理
3.1.6 構造物毎の変状発生箇所と点検のポイント
3.2 変状の捉え方
3.2.1 変状観測の重要性
3.2.2 点検項目
3.2.3 変状の点検、変状の記録のポイント
3.2.4 変状の点検方法、変状の記録方法
3.2.5 点検箇所の選定における留意点
3.3 点検結果の判定
4. 点検記録の様式
4.1 記録様式の構成
4.2 記録様式の作成
4.2.1 法面簡易点検記録票
4.2.2 追跡調査票
4.2.3 法面点検チェックリスト
4.3 記録様式
まとめ
5.1 総括
5.2 今後の課題
参考資料
参考資料編
斜面復旧対策工・のり面の維持管理に関するアンケート調査(結果一覧)
報告書全体概要
まえがき
斜面災害に対する対策としては、危険区域内での工事を許可制にすることにより、工事の安全と規制を図るとともに、積極的にに防災工事を施工することにより斜面の安全を図ってきた。しかし、都市域の拡大に伴い、土砂災害危険区域が増加してきているため、防災工事の施工が追いつかなくなってきている。このため、予め危険と判定されている斜面でも、防災工事が施工できない状況にある。
自然斜面に対しては2001年4月に土砂災害新法が成立し、土砂災害危険区域や特別危険区域の設定が都道府県に義務づけられ、市町村が警戒避難を実施することにより、まずは住民の命の安全を図る体制が確立された。このため、より精度よく危険場所を知るための技術や、いつ危険になるかを判定するための技術の進歩が、行政や技術者、研究者に求められている。
(社)建設コンサルタンツ協会近畿支部「斜面防災研究委員会」では、自然斜面のみならず人工斜面をも含めた斜面防災にかかわる従来の技術、新しい技術を集約・整理し、事例研究・アンケート分析結果などを材料として、調査、解析、施工、維持管理、リスク評価の5つの視点から、斜面防災にかかわる現状を分析し、実務的なレベルから次世代の斜面防災のあり方を検討するため、平成15年4月から3ヵ年にわたり、調査研究活動を実施いたしました。
本研究委員会では調査からリスク評価に至るまでの5つの視点ごとに分科会を設置し、分科会活動を中心として調査研究活動を独自に進めた結果、図らずも全分科会での共通の興味の対象が、「斜面の劣化」ということになりました。一口に斜面の劣化と称しても、その内容は学問的な専門や業務の内容など立場により様々でしたが、明確な定義をすることもなく、5つの分科会の視点から劣化をどう捉えるか、自由な論議を重ねてまいりました。本研究成果報告書は、その集大成であります。工学的な立場から劣化を捕らえ、それに対してどのように取り組んでいくぺきかに関して、初めての取組みであり、新しい成果や提案が盛り込まれております。将来、貴重な文献となることでしょう。
本成果は、外部委員をおつとめ頂きました4名の先生方並びに本研究委員会に参加頂きました、すべての委員の皆様のご努力の賜物であります。ここに皆様方に、深く敬意を表しますとともに、感謝申し上げます。
斜面防災研究委員会
委員長 沖村 孝(神戸大学都市安全研究センター教授)
委員名簿
No. | 氏名 | 所属 |
1 | 沖村 孝 | 神戸大学 都市安全研究センター |
2 | 大津宏康 | 京都大学大学院 工学研究科都市社会工学専攻 |
3 | 西形達明 | 関西大学 都市環境工学科 |
4 | 三田村宗樹 | 大阪市立大学 理学部地球学科 |
5 | 吉田信之 | 神戸大学 都市安全研究センター |
6 | 丸木義文 | 潟Aーステック東洋 地質部防災地質課 |
7 | 堀口大輔 | 粥ヌ沼組 大阪本店 土木技術工務部技術グループ |
8 | 真鍋忠義 | アジア航測 関西コンサルタント部防災地質課 |
9 | 中川 渉 | 応用地質 関西支社 技術部 |
10 | 納村和秀 | 潟Iオバ 大阪支店 土木設計部 |
11 | 加藤 博 | 椛蛹嚥Z術コンサルタンツ 技術部 |
12 | 清水健男 | 潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支社 |
13 | 池尻勝俊 | 川崎地質 神戸支店 |
14 | 大前雄史 | 鰍ゥんこう コンサルタント事業所 調査設計部 |
15 | 幕田 聡 | 滑ヨ西地質調査事務所 技術部 |
16 | 菅井知宏 | 滑ヨ西土木技術センター 調査設計部 |
17 | 桐本耕三 | 潟Lクチコンサルタント 設計1課 |
18 | 桧山悦一 | 近畿技術コンサルタンツ 企画開発部 |
19 | 山脇真二 | 褐嚼ン技術研究所 大阪支社 大阪地質室 |
20 | 國富和眞 | 轄ヲr組 大阪本店 土木設計部設計課 |
21 | 小野尚哉 | 国際航業 防災部 |
22 | 大山忠宏 | 国際航業 道路計画部 |
23 | 篠原正男 | サンコーコンサルタント 大阪支店 技術部地質課 |
24 | 斎木聖二 | 鰹C成建設コンサルタント 道路部道路課 |
25 | 本行史典 | 鰹C成建設コンサルタント 道路部道路課 |
26 | 木越正司 | 椛褐噬Gンジニアリング |
27 | 吉田直貴 | 大日本コンサルタント 大阪支社 道路都市技術部 |
28 | 荒木繁幸 | 潟_イヤコンサルタント 神戸支店 |
29 | 田村泰志 | 潟_イヤコンサルタント 関西支社 技術グループ地盤設計チーム |
30 | 福田 雅 | 泣fルタ設計コンサルタント |
31 | 中村康雄 | 中央開発 地盤技術部 |
32 | 奥出哲也 | 中央復建コンサルタンツ 測量・地盤系グループ |
33 | 原山秀樹 | 叶迹纉cコンサルタント 大阪支店 技術部構造課 |
34 | 野手幸洋 | 鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店 技術第1部 |
35 | 上岡貴士 | 東洋技研コンサルタント 技術第1部第2課 |
36 | 東田研介 | 鞄建設計シビル 大阪事務所 都市開発設計部 |
37 | 片山直樹 | 日本建設コンサルタント 大阪支社 トンネルグループ |
38 | 生島潤一 | 日本工営 大阪支店 技術部 |
39 | 一柳知之 | 潟jュージェック 地圏グループ地質第一チーム |
40 | 井上雅晴 | 潟jュージェック 道路グループ道路第一チーム |
41 | 東郷 智 | パシフィックコンサルタンツ プロジェクト部地盤技術グループ |
42 | 酒井信介 | 轄辮_コンサルタンツ 奈良支店 調査部 |
43 | 尾方武文 | ヒロセ 補強土事業本部 技術部 |
44 | 渡邊幸司 | 潟tジタ 大阪支店 土木部 |
45 | 梶原敏昭 | 明治コンサルタント 大阪支店 技術課 |
46 | 藤原康正 | 潟Gイトコンサルタント 関西支社 技術2部 |