資料No. 07-4
報告書タイトル コンクリート構造物の高性能化に関する調査・研究
委員会名 コンクリート構造物の高性能化研究委員会
委員長名 平澤征夫(中部大学 工学部都市建設工学科)
活動期間 平成16年4月〜平成19年3月
発行年 平成19年7月1日

報告書目次

第1編 コンクリート構造物の長寿命化のための 材料および施工法に関する調査研究

1.まえがき
2.コンクリート構造物の劣化の体系化
 2.1.序論
 2.2.単独劣化
 2.3.単独劣化の劣化予測手法
 2.4.単独劣化による変状事例
 2.5.複合劣化
3.新設コンクリート構造物の長寿命化
 3.1.概要
 3.2.耐久性の評価方法
 3.3.使用コンクリート
 3.4.試設計橋梁の周辺環境
 3.5.ひびわれ幅の算出方法
 3.6.試設計検討ケース
 3.7.対象構造物の設計結果
 3.8.耐久性の評価
 3.9.まとめ
 3.10.今後の課題
4.既設コンクリート構造物の延命化
 4.1.概要
 4.2.現況の把握
 4.3.試設計
 4.4.まとめ
5.あとがき

第2編 コンクリート構造物のライフタイム評価向上のための工夫事例とライフタイム評価に関する調査・研究

1.はじめに
2.ライフタイム評価向上のための工夫事例
 2.1.概要
 2.2.計画
 2.3.設計
 2.4.施工
 2.5.維持管理
 2.6.更新・再利用
 2.7.評価、問題点の抽出
3.ライフタイム評価
 3.1.概要
 3.2.ライフタイム評価項目 (要求性能)の整理
 3.3.ライフタイム評価(試算)における条件設定
 3.4.耐久性の評価方法
 3.5.環境性の評価方法
 3.6.経済性の評価方法
 3.7.検討結果とまとめ
4.諸規定の取り組み(参考)
5.おわりに

第3編 長寿命化を目指した新たな維持管理計画に関する調査・研究

1.まえがき
 1.1.目的
 1.2.研究内容
 1.3.委員紹介
 1.4.全体フロー
2.文献調査
 2.1.調査の概要
 2.2.文献調査の方法
 2.3.塩害を受けたPC橋の耐荷力評価に関する研究についての調査
 2.4.ISO2394およびISO13822についての調査
 2.5.コンクリート構造物の長期性能照査支援モデル研究会についての調査
3.鋼材の腐食劣化シミュレーション
 3.1.概要
 3.2.旧暮坪陸橋の調査
 3.3.潜伏期の劣化予測
 3.4.進展期の劣化予測
 3.5.加速期の劣化予測
 3.6.考察
4.PC桁の劣化進行シミュレーション
 4.1.概要
 4.2.PC鋼材の腐食劣化モデル
 4.3.PC鋼材の破断現象
 4.4.
 4.5.PC桁橋の安全性評価
 4.6.まとめ
5.橋脚柱の耐震性能劣化シミュレーション
 5.1.概要
 5.2.下部工試設計モデル
 5.3.鉄筋の腐食劣化モデル
 5.4.RC橋脚の安全性評価
 5.5.まとめ
6.維持管理計画への応用
 6.1.維持管理計画
 6.2.維持管理計画と劣化予測
 6.3.点検と劣化予測
 6.4.PC構造の劣化予測
 6.5.橋脚の劣化予測
7.あとがき
【付録】文献一覧表

報告書全体概要

 コンクリート構造物は本来高い耐久性を有しており,過去には "メンテナンスフリー "として考えられてきた時代があった。しかし昨今,各種の劣化損傷が顕在化し,機能確保のための維持補修が必要となり,これらの費用が発生・増大することとなっている。これに呼応し,既存コンクリート構造物の維持管理・補修技術に関しては,一つの研究テーマとして活発な動きを見せているが,その反面これから構築されていくコンクリート構造物に着目した調査研究は遅れをとっている感がある。
 本委員会では,上述した現状に対して "コンクリート構造物の高性能化 "に着目し,今後構築されていくコンクリート構造物の "長寿命化,ライフタイム,維持管理 "に着目し,平成1 6年度に活動期間3年間で発足し,本年3月に終了した。また,本研究委員会は,学識委員 3名を含む約40名の委員で構成され, 3分科会を設置して種々の観点から調査研究を行ってきた。
 材料・構造研究分科会(A班)では,材料の側面から長寿命化・延命化について調査研究することを目的に,コンクリート構造物の劣化の体系化,新設コンクリート構造物の長寿命化,既設コンクリートの延命化の 3つに着目し活動を行った。劣化体の系化では,「塩害」「中性化」「アルカリ骨材反応」等の単独劣化を整理し,その上で複合劣化について整理した。新設では,劣化の外的要因として塩害を対象として試設計を行い,各種パラメーターの違いによる長寿命化の効果を評価した。また既設では,既設コンクリート構造物の橋梁について損傷事例,現状と課題,補修・補強工法を整理し,施工性を考慮した試設計により延命化に対する評価を行った。
 ライフタイム評価研究分科会(B班)では,コンクリート構造物のライフタイムコストを低減し,長期的に性能を維持するためのさまざまな工夫事例を収集した。そして ,その必要性と性能評価について経済性を考慮したうえ,耐久性・環境性等に着目して評価する手法について検討を行った。具体的には,PC橋梁の代表的な形式であるポストテンション方式T桁橋と箱桁橋において,架橋位置の地域区分や塩害対策区分をパラメータとして試設計を行い ,ライフタイム全体(すなわち供用中における維持管理も含まれる)に渉る ,経済性のみならず二酸化炭素排出量を付加した環境性にも着目した評価手法の検討を行った。
 維持管理研究分科会(C班)では,本維持管理研究分科会では,適切な維持管理計画の策定を目的に,対象構造物の環境等の劣化因子を充分に把握し,その詳細な劣化シミュレーションを実施することにより,部材毎の要求性能の劣化−時間特性の定量的評価を行うことが重要と考え,研究検討を行った。
 本報告書は,コンクリート構造物の高性能化を目的として実施した3年間にわたる調査研究活動の成果を取りまとめたものである。研究成果をまとめるにあたり,多大の御協力をいただいたライフタイム研究分科会主査:服部篤史(京都大学大学院准教授)、維持管理研究分科会主査:森川英典(神戸大学教授)の両学識委員をはじめ,各委員の方々のご努力に深甚の謝意を表します。また,本報告書が皆様の今後の実務に有効に活用され,コンクリート構造物の高性能化や設計の合理化に寄与できることを切望いたします。

平成19年3月
コンクリート構造物の高性能化研究委員会
委員長 平澤 征夫

委員名簿

                                      
No. 氏名 所属
1 平澤征夫 中部大学 工学部都市建設工学科
2 森川英典 神戸大学 工学部建設学科
3 服部篤史 京都大学 大学院工学研究科 都市環境工学専攻
4 高木宣章 立命館大学 理工学部土木工学科
5 杉原謙二 オリエンタル建設 大阪支店 積算室
6 上條和之 潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支店 構造G
7 大久保 孝 川田建設 大阪支店 技術部 設計課
8 小川清貴 協和設計 設計部 構造課
9 中森武郎 極東工業 大阪支店 設計部 技術課
10 美濃智宏 褐嚼ン技術研究所 大阪本社 道路交通部
11 為石昌宏 轄ヲr組 大阪本店 土木技術部
12 小林哲也 国際航業 関西技術部 道路計画G
13 原 光彦 サンライズエンジニアリング 技術部
14 小谷正人 ジェイアール西日本コンサルタンツ 構造物技術本部 構造物調査課
15 葛原俊昭 JIPテクノサイエンス 大阪テクノセンター 橋梁技術部 技術第2G
16 飯島正憲 セントラルコンサルタント 大阪支社 技術部
17 西山 弘 椛詩技術コンサルタント 大阪支社 技術U部 設計1課
18 岩永 学 大日本コンサルタント 大阪支社 構造技術部
19 高江公愛 大和設計 技術第2部
20 示 敬三 中央復建コンサルタンツ 鉄道系G
21 西村 彩 中央復建コンサルタンツ 橋梁系G
22 玉利幸一 樺キ大 大阪支社 第1構造技術部門
23 田中 新 叶迹纉cコンサルタント 大阪支店 技術部 構造課
24 赤松和昌 東洋技研コンサルタント 技術本部 技術第2部
25 熊川脩二 内外エンジニアリング 大阪支社 土木技術部
26 木村政敏 潟jチゾウテック 技術コンサルティング本部 計測診断チーム
27 井上敏夫 鞄建設計シビル 都市基盤設計部
28 山森誠史 日本技術開発 大阪支社 構造・橋梁部
29 牛島忠史 いであ 大阪支社 建設コンサルタント事業部 陸圏G
30 門田勇一 日本工営 大阪支店 技術部 交通運輸G
31 橋本欣也 潟jュージェック 道路G 橋梁T
32 多田貴久 潟oウエンジニアリング
33 山本智弘 パシフィックコンサルタンツ 大阪本社 交通技術部 構造G
34 園田 勝 轄辮_コンサルタンツ 設計部
35 西口裕之 ピーシー橋梁 大阪支店 技術部 技術課
36 西  弘 兜x士ピー・エス 関西支店 技術部 土木技術チーム
37 長崎宏昭 復建調査設計 高知事務所