資料No. |
513-107 |
報告書タイトル |
地盤環境問題に関する事例研究 |
委員会名 |
地盤(都市環境)研究委員会 |
委員長名 |
嘉門雅史(京都大学 防災研究所) |
活動期間 |
平成7年4月〜平成10年3月 |
発行年 |
平成10年8月1日 |
報告書目次
第1編 施工に伴い発生する地盤変形の研究
―地盤改良工の施工ならびにケーソン基礎圧入に伴う地盤変形―(短期変形グループ)
1.まえがき
2.事例収集
2.1.概要
2.2.文献一覧
2,2.1.「地盤変形」に関する文献調査
2.2.2.地盤改良工に伴う'地盤変形関連の文献一覧
2.2.3.圧入ケーソンに伴う地盤変形関連の文献一覧
2.3.事例の要約
3.地盤改良工に伴う地盤変形の考察
3.1.研究概要
3.2.既往の工事例にみる実測データと解析例
3.2.1.高速湾岸線多摩川トンネル羽田立坑(JMM工法)
3.2.2.大阪市内鉄道工事(生石灰杭改良工法)
3.3.大阪市内共同溝工事(DJM+CCPL工法)
3.3.1.地盤改良中ならびに掘削完了後の計測結果
3.3.2.解析モデルの考え方と解析結果
3.4.地盤改良時の影響を少なくするための対策工法等
4.圧入ケーソン工法に伴う地盤変位
4.1.ケーソン工法の概要
4.2.圧入ケーソン沈設に伴う周辺地盤変状要因と対策
4.3.圧入ケーソン沈設時の周辺地盤変位予測方法
4.3.1.地表面沈下量の簡易な推定方法
4.3.2.有限要素法の圧入ケーソンヘの適用
4.4.圧入ケーソン沈設時の地盤解析事例
4.4.1.簡易な推定法による地表面沈下量の算定
4.4.2.有限要素法による解析
4.5.解析手法の問題点と今後の課題
5.あとがき
第2編 長期変形に関する諸問題の研究(長期変形グループ)
1.まえがき
2.埋立地盤の変形
2.1.研究概要
2.2.大阪湾における埋立地盤と沈下特性
2.3.長期'沈下と環境問題
2.4.技術の現状
2.5.まとめ
3.基礎に関する諸問題
3.1.研究概要
3.2.軟弱地盤における問題
3.3.埋立地盤における問題
3.4.まとめ
4.側方流動
4.1.研究概要
4.2.技術の現状
4.3.事例研究
4.4.まとめ
5.揚水と沈下
5.1.研究概要
5.2.大阪平野の地盤沈下の歴史と現状
5.3.今後の課題
5.4.まとめ
6.地震とライフライン
6.1.研究概要
6.2.ライフラインの被害の状況
6.3.技術基準の状況
6.4.複合災害対策の必要畦
6.5.まとめ
7.長期変形の予測技術
7.1.研究概要
7.2.技術の現状
7.3.まとめ
8.あとがき
第3編 地盤(環境)振動に関する事例研究(地盤振動グループ)
1.まえがき
2.環境基準(振動)
2.1.振動規制法(施行令,施工規則)
2.2.京阪神地区の振動に関する条例等
2.3.その他
3.振動予測
3.1.道路交通振動の予測式
3.2.地下鉄振動の予測式
3.3.鉄道振動の予測式
3.4.施工に伴う振動の予測式
3.5.発破振動の予測
3.6.道路交通振動予測に関する比較
4.振動計測手法
4.1.はじめに
4.2.振動測定機器
4.3.環境振動の測定方法
4.4.環境振動の評価方法
5.対策事例
5.1.道路交通の地盤振動対策
5.2.軌道交通の地盤振動対策
5.3.施工時の地盤振動対策
6.あとがき
第4編 大阪平野における地下水問題に関する研究(地下水環境・地盤汚染グループ)
1.まえがき
2.地下水の現状
2.1.地下水利用の現状
2.2.地下水位の変動
2.3.地下水の水質
3.地盤の帯水層特性
3.1.地下水涵養および水収支
3.1.1.地下水涵養
3.1.2.水収支
3.2.帯水盆構造
3.2.1.帯水盆構造の概要
3.2.2.帯水層の特徴
3.3.水理特性
4.地下水位低下の提案
4.1.概要
4.2.高地下水位による問題
4.3.地下水位低下による得失
4.3.1.地下水位低下によるプラス効果
4.3.2.地下水位低下によるマイナス効果
4.4.大阪市域における地下水位低下の提案
5.地下水の利用
5.1.地下水汚染の現状
5.2.地下水の監視
5.2.1.地下水位と地盤沈下の監視
5.2.2.地下水汚染の監視
5.3.汲み上げ地下水の有効利用
6.地下水位低下についての事例解析
6.1.解析条件
6.2.解析結果
6.3.考察
7.あとがき
第5編 建設発生土の有効利用に関する研究(建設発生土グループ)
1.まえがき
2.建設発生土の現状
2,1.建設発生土の定義と分類
2.2.建設発生土の発生状況
2.3.関係法令と施策
2.4.既存資料
3.建設発生土の有効利用システム
3.1.行政の動き
3.2.情報管理システム
3.3.その他の取り組み
4.設計から見た建設発生土の有効利用
4.1.有効利用の考え方
4.2.建設発生土の土質区分と適用用途
5.施工から見た建設発生土の有効利用
5.1.有効利用の考え方
5.2.新しい施工方法と施工機械
5.2.1.発泡ビーズ混合軽量土工法
5.2.2.土の流動化処理工法
5.2.3.気泡混合土工法
5.2.4.袋詰脱水処理工法
5.2.5.サンドイッチ工法
5,2.6.繊維混合補強土工法
5.2.7.ジオテキスタイル補強盛土工法
5.3.建設発生土有効利用技術の施工コスト・
5.3.1.実施工への取り組み
5.3.2.事業化への取り組み
5.3.3.各工法の施工コスト
5.3.4.首都圏の動き
5.3.5.関西の動き
6.関西の建設発生土の特長
6.1.発生土の種類と発生土量
6.2.建設発生土有効利用の施工事例
7.あとがき
第6編 廃棄物埋立地盤の特性とその跡地利用に関する研究(廃棄物埋立地盤グループ)
1.まえがき
2.廃棄物の定義と分類
2.1.廃棄物の定義
2.2.廃棄物の分類
3.廃棄物の発生量と最終処分場の変遷と現状
3.1.廃棄物の発生量
3.2.最終処分場の変遷と現状
3.2.1.最終処分場の種類
3.2.2.最終処分場の現状
4.廃棄物埋立地盤の土質力学的特性
4.1.物理特性
4.1.1.粒子密度
4.1.2.単位体積重量
4.1.3.含水比
4.1.4.粒度組成
4.2.力学特性
4.2.1.標準貫入試験(N値)
4.2.2.せん断特性
4.2.3.圧密特性
5.廃棄物埋立地盤の化学特性
5.1.ガス特性
5.1.1.はじめに
5.1.2.最終処分場の埋立廃棄物の組成
5.1.3.臭気発生のメカニズム
5.1.4.廃棄物埋立地盤におけるガス特性の調査
5.1.5.考察
5.2.水質特性
5.2.1.廃棄物の種類と浸出水質
5.2.2.水質項目毎の特徴
5.2.3.安定化の進行と浸出水の水質変化
6.廃棄物埋立地盤の跡地利用
6.1.安定化手法
6.1.1.置換工法
6.1.2.重錘落下工法
6.1.3.原位置ガラス固化工法
6.1.4.発生ガス対策
6.2.跡地利用事例
6.2.1.有機物主体の埋立地盤における事例
6.2.2.不燃物廃棄物主体の埋立地盤における事例
6.2.3.石炭灰主体の埋立地盤における事例
7.あとがき
報告書全体概要
地盤(都市環境)研究委員会は、平成7年4月に発足し、3ヵ年にわたって研究活動を行ってきた。平成10年3月をもって一応の区切りをつけることとし、ここに研究成果をとりまとめた。
近年、地球環境問題は大きな社会的関心を集めており、土木分野においても地盤環境問題がクローズアップされてきている。本来、地盤環境問題は、地域環境にかかわる問題として取り組むべきものであるが、地球環境といったグローバルな視点の導入が多方面から必要とされている。しかしながら、地盤に関わる諸問題が環境問題として議論され始めたのは比較的最近のことで、現在各機関において問題解決のための様々なアプローチが実施されつつある。
このような状況を背景として、本研究委員会では特に都市環境に関係する諸問題を取り上げ、事例研究および問題解決の提案を主目的とした研究活動を行ってきた。まず地盤環境問題の現状を把握するために、事例収集・文献調査および内容分析を行った。次いで、これらの結果をもとに6つのテーマを選定し、それぞれのテーマごとにグループ分けを行い研究活動を進めた。テーマと研究内容は以下の通りである。
@短期変形問題
地盤変形に関わる事例収集および文献調査をもとに、施工に伴って発生する短期変形問題に焦点を絞り、その中で特に「地盤改良工による周辺地盤の変形問題」と「圧入ケーソンエによる周辺地盤の変形問題」の二つのテーマを取り上げた。そして、それぞれについて事例調査を整理し、問題点の摘出とケーススタディを通して解析手法や対策手法等の検討を行った。
A長期変形問題
地盤における長期的な変形問題の中で、都市環境問題に関連する項目についての事例研究を行った。テーマとしては、「埋立地盤の変形」、「軟弱地盤および埋立地盤における基礎工」、「側方変位」、「揚水と沈下」、「地震とライフライン」、「長期変形の予測技術」といった6つの項目を選定し、それぞれについて現状の把握と問題点の抽出、今後の課題等について検討した。
B地盤振動問題
建設工事による機械振動、車や列車による交通振動、工場での機械振動など、地震に比べるとその規模ははるかに小さいが、快適な日常生活を営むには障害となる地盤環境の振動問題の事例研究を行った。まず、研究テーマに関連した文献収集を行い、次いでそれらの整理結果をもとに、振動規制法などの環境基準、各種振動の予測式、振動計測方法、および振動対策事例などを紹介した。
C地下水環境・地盤汚染問題
大阪平野における地下水の現状を水位・水質・汚染等の項目について整理し、特に地下水位に注目して建設工事における地下水対策、地震時の液状化対策、地下水の適正利用といった面から検討し、有害な地盤沈下の発生を制御しながら、強制的に地下水低下を起こすことが、トータルの意味で有利であることを示した。そして、ケーススタディとして大阪市内を対象とし、準3次元浸透流解析を用いて揚水による地下水低下のシミュレーションを行った。
D建設発生土問題
建設発生土は建設工事によって副次的に得られる建設副産物の一つであるが、そのまま原材料として利用できる再生資源である。建設発生土の排出量は年々増加傾向にありこれらをいかに利用するかは大変重要な課題である。そこで本編では、このような建設発生土の有効利用に関する現状と課題、および設計・施工時の有効利用方法について調査・研究を行った。
E廃棄物埋立地盤問題
廃棄物の処理方法は、再利用されるもの、中間処理されるもの、埋立処分(最終処分)されるものに分類される。本編では、最終処分形式として管理型処分場に注目し、その埋立地盤の土質特性(物理・力学特性)および化学特性(ガス・水質特性)について、過去の調査事例をもとに整理した。さらに処分場の跡地利用に関して、埋立地盤の安定化手法および利用事例の紹介を行った。
今回の報告書は、各グループごとに作成したものをとりまとめ、以下の6編による構成とした。
第1編 施工に伴い発生する地盤変形の研究
第2編 長期変形に関する諸問題の研究
第3編 地盤(環境)振動に関する事例研究
第4編 大阪平野における地下水問題に関する研究
第5編 建設発生土の有効利用に関する研究
6編 廃棄物埋立地盤の特性とその跡地利用に関する研究
本報告書で扱ったテーマは比較的新しい分野で、未解明な部分が多く急速に進歩している研究分野でもある。したがって、今回まとめた内容は各テーマにおける現状把握と問題点の抽出が主たる成果で、地盤環境問題解決のための第一歩と考えていただきたい。今後より一層の研究の進展が求められるものであるが、本書が、地盤環境問題を業務とされる際の一助となれば幸いである。
最後に、別表に示す委員各位の地盤環境問題への積極的な取り組みに深く感謝する次第である。
平成10年3月
地盤(都市環境)研究委員会
委員長 嘉門 雅史
委員名簿
1 |
京都大学 防災研究所 |
嘉門 雅史 |
2 |
神戸大学 都市安全研究センター |
田中 泰雄 |
3 |
大阪大学 工学部 土木工学科 |
阿部 信晴 |
4 |
大阪産業大学 工学部 土木工学科 |
佐野 郁雄 |
5 |
立命館大学 理工学部 土木工学科 |
早川 清 |
6 |
叶沼組 大阪本店 土木本部 技術課 |
二宮 作太朗 |
7 |
潟Gース 大阪支店 環境開発本部 |
南家 捷成 |
8 |
椛蝟{組 技術本部 技術開発部 |
鈴木 昌次 |
9 |
渇棊p地学研究所 地質部 技術一課 |
西原 在浩 |
10 |
潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支社 |
西村 公一 |
11 |
基礎地盤コンサルタンツ梶@関西支社 |
泉 良久 |
12 |
計測技研 |
藤原 正明 |
13 |
褐嚼ン技術研究所 大阪支社 地質部 |
飯沼 清 |
14 |
褐嚼ン技術研究所 大阪支社 水工本部 環境室 |
福本 二也 |
15 |
轄ヲr組 土木本部 土木設計部 |
楠見 正人 |
16 |
轄ヲr組 土木本部 土木設計部 |
嶋村 貞夫 |
17 |
国際航業梶@関西事業本部 地質部 |
武石 朗 |
18 |
佐藤工業梶@大阪支店 土木部 土木技術課 |
岡重 嘉泰 |
19 |
椛K高組 大阪支社 工務部 技術課 |
中村 卓二 |
20 |
大日本コンサルタント梶@大阪支社 構造部 |
森本 重徳 |
21 |
中央復建コンサルタンツ梶@第 1設計部 |
澤田 幸治 |
22 |
中央複建コンサルタンツ梶@調査技術部 |
林 健二 |
23 |
樺研コンサルタント |
後藤 年芳 |
24 |
潟gーニチコンサルタント 西日本支社 |
吉祥庵 正光 |
25 |
鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店 |
郡 政人 |
26 |
東洋技研コンサルタント梶@技術第 3部 |
稲本 秀雄 |
27 |
東洋建設梶@大阪本店 土木部 技術課 |
黒木 隆宏 |
28 |
日本技術開発梶@大阪支社 |
林 勝巳 |
29 |
日本工営梶@大阪支店 技術一部 |
佐野 研二 |
30 |
日本工営梶@大阪支店 技術一部 |
田中 英二 |
31 |
潟jュージェック 土木第 3部 臨海開発室 |
前川 太 |
32 |
パシフィックコンサルタンツ梶@神戸支店 |
門田 浩一 |
33 |
パシフィックコンサルタンツ梶@大阪本社 |
渡辺 勝久 |
34 |
轄辮_コンサルタンツ |
植田 康宏 |
35 |
ヒロセ梶@開発営業部 |
大井川 和彦 |
36 |
潟tジタ 大阪支店 土木部 技術課 |
山本 秀美 |
37 |
復建調査設計梶@大阪支社 第 2設計課 |
中西 典明 |
38 |
不動建設梶@大阪本店 土木技術部 |
浅田 承扶 |
39 |
八千代エンジニヤリング梶@大阪支店 |
草野 一郎 |