資料No

513-108

報告書タイトル

地震時の斜面の崩壊・変形の現状と設計手法の課題

委員会名

斜面の地震防災研究委員会

委員長

西 勝

活動期間

平成8年4月〜平成11年3月

発行年

平成11年8月1日発行

報告書目次

第1編 斜面の地震災害の概要

1.近年の地震と斜面災害
 1.1.関東大震災
 1.2.伊豆半島沖地震
 1.3.伊豆大島近海地震
 1.4.宮城県沖地震
 1.5.日本海中部地震
 1.6.長野県西部地震
 1.7.千葉県東方沖地震
 1.8.釧路沖地震
 1.9.北海道南西沖地震
 1.10.北海道東方沖地震
 1.11.兵庫県南部地震
2.斜面災害の特徴
 2.1.地震の種類と斜面災害
 2.2.斜面の種類と斜面災害
3.斜面の地震災害の予測
4.地震時の斜面崩壊の解析
5.地震時の対策工

第2編 山腹斜面の崩壊特徴と対策工(緑化工)

はじめに
1.過去の地震による斜面災害の特徴と崩壊形態
 1.1.北海道・東北太平洋側震央地震
 1.2.北海道・東北日本海側震央地震
 1.3.伊豆半島沖地震・伊豆大島近海地震
 1.4.兵庫県南部地震
 1.5.まとめ
2.山腹斜面の崩壊対策工
 2.1.崩壊対策斜面の形態
 2.2.対策工法の選定方法
 2.3.対策工の種類と特徴
 2.4.施工資材の運搬方法
3.斜面災害に対する植生の役割
 3.1.植生の役割とその概要
 3.2.地震による崩壊地と植生繁茂状況との関係
 3.3.植生が果たす役割(機能)
 3.4.根系の力学的挙動の検討
 3.5.植生工の導入にあたって
 3.6.まとめ

第3編 大規模崩壊と地すべり

はじめに
1.地震前後の観測データー変化
 1.1.地震と観測データー
 1.2.釧路沖地震での事例
 1.3.北海道東方沖地震での事例
 1.4.兵庫県南部地震の事例
 1.5.まとめ
2.崩壊形態
 2.1.崩壊形態の分類
 2.2.過去の大規模崩壊と地すべりの事例
 2.3.崩壊形態の特徴
3.素因
 3.1.地形
 3.2.地質
4.機構解析
 4.1.解析手法
 4.2.機構解析例
5.対策工事例
 5.1.日本海中部地震
 5.2.長野県西部地震
 5.3.北海道南西沖地震
 5.4.北海道東方沖地震
 5.5.兵庫県南部地震

第4編 切土斜面の地震時の崩壊特徴と対策工の選定

まえがき
1.過去の地震による被害
 1.1.兵庫県南部地震による被害事例
  1.1.1.切土斜面の被害事例
  1.1.2.崩壊パターンと節理・片理との関係
  1.1.3.切土崩壊構造物の被害事例
 1.2.その他の地震による被害事例
  1.2.1.1978年伊豆大島近海沖地震
  1.2.2.1993年釧路沖地震
  1.2.3.1975年大分県中部地震
  1.2.4.1993年北海道南西沖地震
2.地震による切土斜面崩壊の特徴
3.復旧対策工の実例
 3.1.吹付法枠工法
 3.2.地山補強土工法
 3.3.防護ネット工法
4.対策工の選定基準
 4.1.のり面崩壊復旧工法の種類
 4.2.のり面崩壊復旧工法の選定

第5編 堤体盛土斜面の崩壊特徴と対策工

はじめに
1.盛土斜面の分類とその特徴
 1.1.道路及び鉄道盛土の斜面
 1.2.河川及び海岸堤防盛土の斜面
 1.3.フィルダムの斜面
2.地震動の特徴と盛土斜面及び地盤の地震時挙動
 2.1.地震動の特徴
 2.2.盛土斜面及び地盤の地震時挙動
3.盛土構造物(斜面)の地震時被害
 3.1.被害型式の分類
 3.2.被害事例と被害型式(破壊形態)について
4.土の動的性質
 4.1.調査・試験法
 4.2.土の動的強度及び変形特性
 4.3.砂の液状化
5.解析手法
 5.1.極限平衡法による安定検討
 5.2.FEM解析による安定検討(静的解析)
 5.3.動的検討手法
 5.4.課題と展望
6.盛土斜面の耐震性判定と耐震設計
 6.1.耐震設計基準
 6.2.耐震性判定法
 6.3.耐震設計手法
7.盛土斜面の耐震対策工法
 7.1.耐震対策工法
 7.2.復旧対策工法
 7.3.対策工法の選定
8.事例
 8.1.動的解析事例
 8.2.被災事例
9.まとめ

第6編 宅地造成斜面の安定性

はじめに
1.過去の地震による被害
 1.1.兵庫県南部地震による被害
 1.2.宮城県沖地震による被害
 1.3.その他の地震による被害
  1.3.1.1993年釧路沖地震による被害
  1.3.2.北海道南西沖地震による被害
  1.3.3.北海道東方沖地震による被害
  1.3.4.伊豆半島沖地震
2.被害形態の分類
3.各種被害形態に対する解析モデルの検討
 3.1.地震時斜面崩壊の解析手法
 3.2.斜面崩壊機構への解析的アプローチ
4.盛土モデル断面の安定解析
 4.1.解析手法および条件
 4.2.標準のり面勾配での安定度
 4.3.地震時の安定化対策の検討
 4.4.むすび
巻末資料 技術施工基準(地震改訂版)
1.道路橋示方書の改定1こおける液状化について
2.宅地防災マニュアルにおける耐震対策
3.建設省河川砂防技術基準(案)
4.道路土工 のり面工・斜面安定工指針
収集文献一覧表

報告書全体概要

 平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震による被害は、土木構造物、建築構造物の損壊、六甲山系や淡路島における多くの山腹崩壊や地すべり性崩壊が生じた。特に、山腹斜面の崩壊部は、今後拡大する懸念があった。 本委員会の前身である斜面安定研究委員会、軟岩斜面の安定研究委員会では、アンケート調査や事例研究を行い、斜面安定指針をまとめてきた。しかしながら、地震に対応した斜面の設計・対策事例、提体盛土に関する地震時の技術指針はあるが、斜面の耐震設計は、まだ確立されていないのが現状であった。さらに、兵庫県南部地震では住環境に近い崩壊斜面が多いのも特徴であり、自然環境に調和した復旧、緑化を検討する必要があった。 兵庫県南部地震の経験から、地震時の斜面安定に関して上述の課題が改めて認識されることとなったが、本委員会は、地震による斜面災害の現状を把握し、地震防災における調査・解析・設計、環境保全を考慮した災害復旧の方法などについて検討することを目的として、平成8年4月から平成11年3月まで活動を行った。 本委員会では、過去に生じた地震による斜面災害の状況について、各種機関(産・官・学・民)での調査結果を収集・整理するとともに、現地でのケーススタディーをもとに、地震防災の項目(調査手法、解析手法、耐震設計、環境保全、施工計画)について詳細に検討した。 本委員会では、特に兵庫県南部地震で崩壊した斜面を対象として、現地調査(概査)を行い、この結果と収集した資料を用いて、実務レベルで参考となる地震時での崩壊の特徴の把握(地形、地質、土質、地下水、植生、地震動の関連の検討)、崩壊法面のシミュレーション解析、設計における地震の考慮、斜面安定化工法の検討に重点を置いた研究を行った。 さらに、平成10年度に地震時の改訂として順次発行された、道路土工指針、道路橋示方書、宅地防災マニュアル改訂版における、斜面に関する変更項目を整理した。 研究の実施方法としては、地すべり、堤体盛土、宅地造成盛土、山腹斜面、切土法面の5つのワーキンググループに分けて委員会活動を行った。
 その成果として、地すべりグループでは、地震による斜面被害の特徴を総括するとともに、地震前後の観測データの状況、崩壊形態、素因・誘因、機構解析、対策工事例などについてまとめた。

 提体盛土グループでは、神戸市の道路盛土と小野市のため池提体の2つのケースの地震応答解析と現地調査を実施した。
 宅地造成盛土グループでは、宅地造成地盤における被害の形態と原因を推定し、造成盛土斜面の地震被害形態を大きく4パターンに分類した。
 山腹斜面グループでは、過去の地震による斜面崩壊に関する文献調査結果をまとめるとともに、山腹斜面の根系の引き抜き実験を行った。
 切土斜面グループでは、地震で崩壊した切土法面の現地踏査と崩壊事例の文献調査を行い、切土法面の崩壊の特徴と対策工の選定手法をとりまとめた。
 以上の成果は、個別に独立させた構成で報告書にまとめた。各グループの成果概要は、まえがきに紹介されているので、その意とするところは、それぞれご参照願いたい。
 本報告書が斜面安定の検討に従事する技術者の手助けとなり、各種事業における地震災害防除に役立てば幸甚の至りである。

各編担当グループ
 第1編 切土斜面G、地すべりG   第4編 切土斜面G      巻末資料(改定基準)
 第2編 山腹斜面G           第5編 提体盛土G            切土斜面G、
 第3編 地すべりG            第6編 宅地造成盛土G          宅地造成盛土G

平成11年3月      斜面の地震防災研究委員会  委員長 西 勝

委員名簿

神戸大学 工学部 建設学科

西 勝

無所属(神戸大学名誉教授)

尾崎叡司

神戸大学 都市安全研究センター

沖村 孝

無所属(京都大学名誉教授)

小橋澄治

大阪工業大学 工学部 地学研究室

藤田 崇

神戸大学 都市安全研究センター

吉田信之

叶沼組 土木技術部 技術課

丹田雄次郎

アジア航測梶@大阪支店 関西生産技術部

國眼 定

10

潟Eェスコ 大阪支社 技術部

金子義信

11

渇棊p地学研究所 地質部

大野克己

12

応用地質梶@関西事業本部 設計部

南部光広

13

潟Iオバ 大阪支店 土木設計部 開発課

下角喜由

14

渇恆コ組 関西支社 土木部 技術室

田川朋尚

15

潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支社

藤井弘一

16

梶谷エンジニア梶@関西支店 技術部

岡本成夫

17

川崎地質梶@神戸支店 地質岩盤G

池尻勝俊

18

鰍ゥんこう コンサルタント事業所 土木設計部

大前雄史

19

基礎地盤コンサルタンツ梶@関西支社

城戸 渉

20

滑ヨ西土木技術センター 技術部1課

金村英明

21

近畿技術コンサルタンツ梶@道路部 第2課

桧山悦一

22

褐嚼ン企画コンサルタント 道路設計部

栗田桂治

23

褐嚼ン企画コンサルタント 土質技術部

谷村 恭

24

褐嚼ン技術研究所 大阪支社 地質部

d松保貴

25

褐嚼ン技術研究所 大阪支社 技術第1部

向井信之

26

27

国際航業梶@関西事業本部 地質部 地質1G

伊藤雅之

28

国際航業梶@関西事業本部 企画部

新本圭一

29

サンコーコンサルタント梶@大阪支店 地質部

辻野裕之

30

潟Wオシャイロ 設計部

丸木義文

31

鰹C成建設コンサルタント 道路部 道路課

小笹展啓

32

大成建設梶@神戸支店 土木営業部

伊藤春二

33

潟_イヤコンサルタント 大阪支店 技術部

足立 潔

34

中央開発梶@大阪事業部 調査部

大鹿明文

35

中央復建コンサルタンツ梶@調査技術部 第2課

市川千尋

36

鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店

西田 亨

37

鞄血コンサルタンツ 大阪支店 技術第1部

藤縄 寛

38

日開技研梶@第1技術部

松田勝己

39

日本技術開発梶@大阪支社 道路部

坂井清貴

40

日本建設コンサルタント梶@大阪支社

山本 誠

41

日本工営梶@大阪支店 技術第2部 第2課

中村美夫

42

鞄本パブリック 関西支社 技術部 調査課

亀田泰範

43

潟jュージエック 技術開発部 地盤室

平川芳明

44

潟jュージエック 河川・海岸部 水工室

脇本公朋

45

パシフィックコンサルタンツ梶@大阪本社

森野善広

46

潟pスコ 大阪支社 区画整理部

永田忠之

47

轄辮_コンサルタンツ 奈良支店 調査部

藤村 等

48

ヒロセ(梶@補強土統括部 ルートパイル技術G

尾方武文

49

復建調査設計(梶@大阪支社 地質調査課

吉村辰朗

50

明治コンサルタント梶@大阪支店 斜面防災課

吉水 吾