資料No.

513-110

報告書タイトル

地盤環境にかかわる諸問題と事例研究

委員会名

土と地下水の環境問題研究委員会

委員長名

嘉門雅史(京都大学 防災研究所)

活動期間

平成10年4月〜平成12年3月

発行年

平成12年8月1日

報告書目次

第1編 地盤環境の調査技術とその事例(環境地盤調査グループ)
1. まえがき
2. 環境地盤調査の意義付け
2.1. 地球環境規模の視野
2.2. グループ研究テーマとしての定義
3. 環境地盤調査
3.1. 地盤変状調査
3.1.1. 地盤変状
3.1.2. 必要調査項目
3.1.3. 変状調査手法
3.1.4. 地盤変状に対する基準
3.2. 地盤汚染調査
3.2.1. 地盤の汚染
3.2.2. 必要な調査
3.2.3. 調査手法
3.2.4. 環境基準
3.2.5. ダイオキシン類
3.3. 地下水汚染調査
3.3.1. 地下水の汚染
3.3.2. 必要な調査
3.3.3. 調査手法
3.3.4. 環境基準
3.4. 振動・騒音調査
3.4.1. 振動調査
3.4.2. 騒音調査
3.5. 土壌ガス調査
3.5.1. 土壌ガスの種類
3.5.2. 土壌ガスの特性と規制値
3.5.3. 調査項目と測定方法
3.6.大気汚染調査
3.6.1. 大気汚染物質の種類
3.6.2. 大気汚染物質の特性と関係法令
3.6.3. 大気汚染物質と測定項目と測定方法
3.6.4.「特定粉じん排出等作業」における作業基準
4. 事例研究
4.1. 建設発生土・廃棄物埋立地盤調査
4.1.1. 建設発生土・廃棄物埋立地盤利用にあたっての留意
4.1.2. 海上埋立地盤調査
4.1.3. 陸上埋立地盤調査
4.2. 工場跡地地盤調査
4.2.1. 調査フロー
4.2.2. 重金属に係る土壌・地下水汚染
4.2.3. 揮発性有機化合物に係る土壌・地下水汚染
5. 参考出典
6. あとがき

第2編 建設工事に伴う地盤変形(地盤変形・沈下グループ)
1. まえがき
2. 地下水位低下に伴う地盤変位
2.1. 研究概要
2.1.l. 建設工事と地下水
2.1.2. 基礎工事による地下水の流動阻害
2.1.3. 揚排水に伴う地下水障害
2.2. 既往事例による実測データと解析例
2.2.1. 堀割道路建設における地下水状態への影響評価
2.2.2. 神戸市域の事例
2.3. 地下水低下に伴う地盤変形検討方法
2.3.1. 地下水低下による周辺地盤沈下の要因
2.3.2. 地下水低下による地盤変形予測手法
2.4. 周辺地盤への影響防止対策
2.4.1. 土留壁周辺地盤への影響対策
2.4.2. リチャージ工法
2.4.3. リチャージ工法の計画手順
2.4.4. 通水連壁工法
2.4.5. 通水管の設計方法
2.5. 問題点と今後の課題
3. 埋立て地盤中のシールドトンネルの変形と応力
3.1. 研究概要
3.2. 既往の事例による実測データと解析例
3.2.1. 堺航路シールドの事例
3.2.2. 京葉線台場トンネルの事例
3.3. シールドトンネルの縦断方向の解析
3.3.1. シールドトンネルの縦断方向の解析方法
3.3.2. シールドトンネルの縦断方向の剛性評価
3.3.3. 対策工法
3.3.4. 解析事例
3.4. 問題点と今後の課題
4. 構造物の許容変位量について
5. 文献事例の要約
6. あとがき

第3編 地盤環境の汚染とその対策(地盤・地下水汚染グループ)
1. まえがき
2. 地盤・地下水汚染の実態
2.1. 地盤環境汚染の現状
2.2. 汚染物質の生体への影響
2.3. 汚染源と汚染物質
2.4. 汚染物質の地盤・地下水中における存在形態
2.4.1. 地盤環境における汚染物質の存在形態と挙動
2.4.2. 有機塩素化合物の存在形態と挙動
2.4.3. 重金属類の存在形態と挙動
3. 地盤・地下水汚染関連法規の変遷
3.1 .諸外国の地盤・地下水汚染関連法規の変遷
3.1.1. アメリカの例
3.1.2. カナダの例
3.1.3. オランダの例
3.1.4. ドイツの例
3.1.5. イギリスの例
3.1.6. フランスの例
3.2. 日本の関連法規の変遷
3.2.1. 国の環境基準
3.2.2. 地方自治体の関連法規
3.2.3. 未規制物質への対応
4. 地盤・地下水汚染調査
4.1. 調査指針および運用基準内容
4.1.1. 調査の場合分け
4.1.2. 適用項目
4.1.3. 重金属等に係る調査の進め方
4.1.4. 揮発性有機化合物に係る調査の進め方
4.1.5. 調査の流れ
4.1.6. 重金属類と揮発性有機化合物の調査内容の対比
4.2. 地盤・地下水汚染の基本的調査内容
4.2.1. 調査の流れと基本事項
4.2.2. 地盤・地下水汚染のための各種調査
4.3. 地盤・地下水汚染調査の課題と今後の展望
5. 解析技術
5.1. 解析分野と手法
5.1.1. 解析の目的
5.1.2. 解析が対象とする課題
5.1.3. 地下水汚染解析の基礎式
5.1.4. 解析手法
5.2. 解析事例
6. 地盤・地下水汚染に係る対策
6.1. 概説
6.2. 対策技術の分類
6.2.1. 重金属等汚染に係る対策
6.2.2. 有機塩素化合物による汚染に係る対策
6.2.3. 対策技術の分類表
6.3. 新技術の研究,開発動向
6.3.1. 概説
6.3.2. 重金属等汚染に係る新技術
6.3.3. 有機塩素化合物汚染に係る新技術
6.4. 環境影響評価
7. おわりに

第4編 地盤環境振動予測手法の現状と事例解析(地盤振動グループ)
1. まえがき
2. 文献調査
2.1. 概要
2.2. 文献収集
3. 解析手法
3.1. 地盤のモデル化
3.2. 地盤物性値
3.3. 荷重条件
3.4. 対策工のモデル化
4.事例解析
4.1. 検討条件の整理
4.1.1. 対象橋梁の概要
4.1.2. 振動調査
4.1.3. 各要素のモデル化
4.1.4. 入力振動
4.2. FEM解析
4.2.1. 解析条件
4.2.2. 解析結果
4.2.3. 実測値との比較
4.3. 簡易予測式
4.3.1. 道路交通振動の予測式
4.3.2. 振動の距離減衰の予測式
4.3.3. 距離減衰予測式の適用性
4.3.4. PC壁体による振動軽減効果
5.あとがき

第5編 新・埋立技術による海上都市構想(建設発生土・廃棄物埋立地盤グループ)
1. まえがき
2. 新・埋立技術の紹介
2.1. 埋立材料
2.1.1. 浚渫土の脱水技術
2.1.2. 浚渫土の固化技術
2.1.3. 埋立材の運搬方法
2.2. 埋立工法
2.2.1. 護岸
2.2.2. 建設発生土等の有効利用技術
2.2.3. 建設発生土等を利用した地盤改良技術
2.3. 環境改善
2.3.1. 水質浄化技術
2.3.2. リサイクル技術
2.4. 新・埋立技術の適用事例
2.4.1. 適用事例一覧
2.4.2. 事例紹介
3. 新・埋立技術による海上都市構想
3.1. コンセプト
3.2. 埋立材料
3.2.1. 浚渫土の脱水技術
3.2.2. 浚渫土の固化技術
3.2.3. 埋立材の運搬方法
3.3. 埋立工法
3.3.1. 建設発生土等を利用した護岸
3.3.2. 廃棄物遮断・遮水護岸
3.3.3. 建設発生土等を利用した地盤改良技術
3.4. 環境改善
3.4.1. 海水浄化護岸
3.4.2. 人工干潟
3.5. 事業効果
3.5.1. 建設発生土等の有効利用量
3.5.2. 事業採算性
3.5.3. ライフサイクルアセスメント
4. まとめ

報告書全体概要

土と地下水の環境問題研究委員会は平成10年4月に発足し,2ヶ年にわたって研究活動を行ってきた。平成12年3月をもって一応の区切りをつけることとし,ここに研究成果をとりまとめた。
近年,地球環境問題が大きな社会的関心を集めており,土木分野においては,建設工事に起因する地盤変状,地盤振動,地下水環境,建設発生土,廃棄物処理,など地盤に関連した環境問題がクローズアップされてきている。そして,このような地盤環境問題は現在各機関において問題解決のための精力的な取り組みがなされている。
建設コンサルタンツ協会近畿支部でも平成7年度に「地盤(都市環境)研究委員会」を設置し,平成10年3月までの3年間にわたって地盤と都市環境に関わる問題に取り組んだ。その際のテーマとして,(長期・短期)地盤変形問題,地盤振動問題,地下水環境問題,建設発生土問題,廃棄物埋立地盤問題を選定し,その時点での問題点の把握および対策方策の調査等を実施して,一応の成果を収めることができた。しかし,地盤に関わる環境問題は依然として未解明な部分が多く,かつ現在急速に進歩している研究分野であるので,最新の情報収集を行うとともに新たな研究成果を挙げるべく平成10年度に「土と地下水の環境問題研究委員会」を立ち上げた。
本委員会の具体的な活動方針としては,前委員会の活動成果に基づいて初年度より研究テーマを絞り込み,各テーマごとにグループ研究活動を中心に実施することとした。研究テーマは,前委員会と関わりのある「地盤変形・沈下」,「地盤・地下水汚染」,「地盤振動」,「建設発生土・廃棄物埋立地盤」の4つのテーマに,新たに「環境地盤調査」を加えた。各テーマごとの研究課題と内容は以下の通りである。なお,報告書は各グループごとに作成したものをとりまとめ,合わせて5編による構成とした。

第1編 地盤環境の調査技術とその事例(環境地盤調査グループ)
地盤変状,地盤・地下水汚染,振動・騒音,土壌ガス等,地盤環境問題に絡む調査に関して,現状における問題点,調査目的,調査手法,環境基準の整理を行った。また,事例研究として建設発生土・廃棄物埋立地盤と工場跡地地盤の汚染調査事例を紹介した。

第2編 建設工事に伴う地盤変形(地盤変形・沈下グループ)
建設工事に伴う地盤変形に起因する周辺環境への影響評価をテーマとして,地下水低下に伴う地盤変状と埋立地盤中のシールドトンネルの変形問題を取り上げ,文献による事例の収集と整理を行った。また,実測データと解析結果の比較,そしてそれに基づく解析手法の考察や今後の課題等について検討した。

第3編 地盤環境の汚染とその対策(地盤・地下水汚染グループ)
地盤・地下水汚染に関する実態,関連法規の変遷,汚染調査の方法,汚染物質の移流分散に係わる数値シミュレーション手法,汚染対策技術等について資料を収集し整理した。また,新しい汚染対策技術に関する研究・開発の動向や環境影響評価法についてもまとめた。

第4編 地盤環境振動予測手法の現状と事例解析(地盤振動グループ)
実際に道路高架橋で計測された交通振動による周辺地盤の振動データを用いて,FEM解析および簡易予測式による解析結果と実測データとの比較を行った。また,FEM解析を用いて振動対策工(PC壁体)の効果の定量的評価を行い,FEM解析による予測手法の適用性を検証した。

第5編 新・埋立技術による海上都市構想(建設発生土・廃棄物埋立地盤グループ)
大阪湾において廃棄物,建設発生土, 浚渫土等による埋立人工島を計画し,埋立材料としての浚渫土の固化・脱水技術や埋立材料の搬出方法,埋立工法,環境改善等,既存の技術でどこまで実現可能かの検討を行い,実現に向けての技術提案を行った。また,跡地利用や事業効果についての評価も行った。

本報告書では,建設工事に関わる環境問題の中から上述した5つのテーマを取り上げ,それぞれ最新情報の紹介や問題提起および環境問題に関わる解決手段の提案等を行った。地盤環境問題にはまだまだ多くの課題が残されており,新たな問題の発生も予想される。このような状況の中で,今後より一層の研究の進展が求められるものであるが,本書が,地盤環境問題を業務とされる際の一助となれば幸いである。

最後に,別表に示す委員各位の地盤環境問題への積極的な取り組みに深く感謝する次第である。
委員長 嘉門雅史

委員名簿

 

 

 

 

No.

所  属  名

氏  名

1

京都大学 防災研究所 

嘉門雅史

2

神戸大学 都市安全研究センター

田中泰雄

3

大阪産業大学 工学部 土木工学科

佐野郁雄

4

立命館大学 理工学部 土木工学科

早川 清

5

叶沼組 大阪本店 土木技術部

二宮作太朗

6

椛蝟{組 技術本部 技術開発部

鈴木昌次

7

渇棊p地学研究所 技術本部

西原在浩

8

潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支社

西村公一

9

川崎地質梶@関西支社 技術部

中山健ニ

10

褐F谷組 大阪支店 工務部

山脇正啓

11

計測技研

藤原正明

12

褐嚼ン技術研究所 大阪支社 地質部

飯沼 清

13

褐嚼ン技術研究所 大阪支社 環境本部

福本二也

14

轄ヲr組 土木本部 土木設計部

楠見正人

15

轄ヲr組 土木本部 土木設計部

笹川基史

16

国際航業梶@関西事業本部 地質部

武石 朗

17

佐藤工業梶@大阪支店 土木部

川下光仁

18

鰹C成建設コンサルタント 道路部

釜浦正和

19

椛K高組 大阪支社 工務部

中村卓二

20

大日本コンサルタント梶@大阪支社 構造部

森本重徳

21

潟_イヤコンサルタント 大阪支店 技術部

又吉一史

22

中央復建コンサルタンツ梶@第一設計部

和田信祐

23

中央復建コンサルタンツ梶@総合部

林 健ニ

24

樺研コンサルタント 技術第三部

鈴木教泰

25

潟gーニチコンサルタント 西日本支社

辻 満明

26

鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店(徳島出張所)

郡 政人

27

鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店 技術二部

佐藤英章

28

東洋技研コンサルタント梶@技術第3部

稲本秀雄

29

内外エンジニアリング梶@大阪支社

前田太知

30

日本技術開発梶@大阪支社 都市構造部

林 勝巳

31

日本工営梶@大阪支店 技術第一部

小阪陽克

32

日本工営梶@大阪支店 技術第一部

佐藤友哉

33

潟jュージェック 技術開発部

平井俊之

34

潟jュージェック 港湾・空港部

前川 太

35

潟jュージェック 環境計画部

枡本太郎

36

潟jュージェック 河川部

與田敏昭

37

パシフィックコンサルタンツ梶@大阪支社

龍原 毅

37-1

株ェ州 関西支社 設計部

西田雅則

38

轄辮_コンサルタンツ 奈良支店

植田康宏

39

潟tジタ 大阪支店 土木部

大迫 光

40

復建調査設計梶@大阪支社 第2設計課

中西典明

41

不動建設梶@大阪本店 土木技術部

浅田承扶

42

八千代エンジニヤリング梶@大阪支店

草野一郎