道路供用下におけるプレキャストコンクリート版を用いたトンネル補修工事

国際航業梶@○ 東田 正樹

論文要旨

 水越トンネルは併用後30年を経た道路山岳トンネルであり,断層破砕帯に位置するため変状が著しく,抜本的対策が必要となった。また,国道42号に位置するため,通行止めは不可能であり,交通量の多い時間帯は2車線の開放が必要である。このような条件下で補修工事が施工できる工法としてプレキャストコンクリートライニング工法(PCL工法)を採用し,実施工にうつした。
 施工は1車線の通行が可能な空間を確保したPCL版専用の運搬架台車を考案し,坑外で仮組みしたPCL版をその架台を利用して坑内に運搬,設置する方法をとった。PCL版の背面には既設覆工との一体化を目的とした裏込めグラウトを注入することとし,PCL版の設計は,このグラウト注入圧とゆるみ土圧による発生断面力を用いて行った。PCL工法は美観に優れ,走行性向上効果もあり,今後,交通開放下でのトンネル補修工法として注目されることとなろう。

キーワード

山岳トンネル,変状,維持補修,PCL工法,プレキャスト,交通開放下施工,運搬台車,ゆるみ土圧,裏込めグラウト(注入)