ダム湖の環境基準達成に向けた下水の高度処理計画

鞄建技術コンサルタント ○ 堀 善雄

論文要旨

 湖沼における水質環境基準達成の是非は,当該水域の環境基準類型に基づきCOD水質で評価されるが,ダム湖のような閉鎖性水域では,流入するCOD基質の負荷量だけでなく,富栄養化の進行に伴い内部生産されるCODの影響も無視できない割合を占める。この富栄養化現象は,窒素,リンに代表される栄養塩類の流入に起因するものであることから,この流入負荷削減がダム湖の水質改善に重要な要素となる。したがって,下水の高度処理がダム湖の水質環境基準達成を目標とする場合,COD負荷の削減のみならず,T−N,T−P負荷の削減が水質改善に及ぼす影響を解析し,目標達成のために必要な処理レベルを設定する必要がある。
 本論文は,このような観点を踏まえて策定した,ダム湖の環境基準達成に向けた下水の高度処理計画の事例を紹介するものである。

キーワード

水質環境基準,富栄養化,閉鎖性水域,COD,T−N,T−P,下水の高速処理