金沢市における傭撤景観の特性と保全について

(株)サンワコン    杉本 敬一
○ 岸 竜太郎
小川 起代

論文要旨

 近年、我が国の各都市では景観条例に基づく景観形成地区や景観形成基準の指定などに基づき、個性的で魅力ある街並み空間の形成が進められている。これらの施策は、近景場すなわち視点場と対象場が比較的近い距離での景観誘導が大半を占めているが、本稿の舞台である金沢市は、市民の憩いの場である丘陵地や台地上の市街地から、黒瓦屋根の集積や寺院の大屋根などを俯瞰することができ、金沢ならではの景観体験を得ることができる。
 こうしたなかで、本繭は俯瞰景観等の現状調査とその保全施策についてとりまとめたものであり、既存の景観条例に基づく近景場での景観誘導とともに、遠方からの眺めに対しても誘導を行うといった新たな視点を導入し、生きている都市の情勢に対応しながら景観行政に深み、厚みをもたせていくことを目的としている。なお、調査に当たっては、これら俯瞰景観保全について「いかに市民の認識を高め、生活感覚として定着させていくか」に主眼をおいて、文芸心象調査や市民意識調査、さらに俯瞰景観等の写真パネル展示会等に取り組んでいる。

キーワード

景観行政、景観条例、俯瞰景観、眺望景観、景観体験、心象風景、文芸心象調査