都市河川流域における水循環マスタープラン策定について
(株)建設技術研究所 大阪支社 環境部 寺井 和弘
狩野 晋一
○ 古伸 隆行
松原 弘和
論文要旨
河川やその流域の水循環過程は、地表面や海から蒸発した水が雲となり、雨や雪となって地上に降り、河川水や地下水として南び海へ戻るプロセスであり、この自然の水循環は、古来から不変である。そして流域では、古来から人々と水との関わりは深く、水文化が育てられてきた。しかし、現在では急激な都市化の進展から普段の河川水量の減少や水質の悪化が生じ、人々と水との関わりが失われつつある。かつての流域の姿を取り戻すには、雨水や排水を不必要な水として速やかに流すことを優先してきたこれまでの考え方を転換し、人問活動が水循環系に与える影響を和らげるよう努めるていくことが必要である。本稿は、都市河川流域である寝屋川流域を対象に、「水量の確保」「水質の改善」「豊かな水環境を活かした川づくり」の3つの主要施策を展開することにより、流域の健全な水循環系を回復し、良好な水環境を再生するとともに、都市における水と人々との新しい関わりを築き上げることを目的に策定した水循環マスタープランの概要を紹介するものである。
キーワード
水循環、水収支、都市河川、水質改善、雨天時負荷、ノンポインド汚濁負荷、川づくり