公園湿潤化対策の検討例
パシフィックコンサルタンツ株式会社 舘川逸朗
○ 真鍋 毅
伸矢順子
論文要旨
本業務は、止水壁の地下水流動阻害による地下水位の上昇を平面二次元FEM浸透流解析によって定量的に評価し、地表面の湿潤化に対する検討を実施したものである。解析の目的は、現場透水試験結果による透水係数を既知として、地下水流動阻害による水位上昇量と動水勾配の関係を求め、現地動水勾配の最大値によって湿潤化を検討することであった。本来では、解析モデルは対象地域の地形地質にもとづいて設定するべきであるが、工期および予算の関係上厳密な解析モデルは作成していない。しかし、湿潤化については現地の将来的な利用状況から考えて厳密な地下水挙動を求める必要はなく、概略的な判断を行う上で、今回のような簡便な(経済的な)数値シミュレーションによって止水壁設置後の地下水挙動を安全側ではあるが充分評価できた。湿潤化の管理基準は、地表面から地下水位までの距離(毛細管現象によって植生に与える影響が大きい1.0〜2.0m)を設定した。解析結果では、湿潤化の可能性がある結果となり、概略設計では、暗渠排水施設による湿潤化対策を実施した。
キーワード
FEM浸透流解析、地下水流動阻害、湿潤化、暗渠排水対策