既設鉄道トンネルの道路盛土による近接施工
日本工営梶@大阪支店技術第1部 平井孝治
佐藤友哉
○ 川畑 智
論文要旨
本鉄道トンネルは、昭和36年に築造された延長960mの単線山岳トンネルである。以来営業線として38年経過し、坑口部ではクラックや漏水などの劣化が目立つようになってきている。本件は、こうしたトンネル坑口付近の側上部に道路建設のための盛土偏荷重が載る場合の影響を予測し、計測管理を行って安全性を検証したものである。
道路設計の階段で、標準盛土勾配では要対策範囲の近接施工区分となるため、良質材を用いて盛土断面の縮小化をはかり、要注意範囲まで近接度を改善した。影響予測では、荷重の3次元応力分散効果を取り入れたFEM解析を行い、覆工現況状態を確認した上で、安全性には余裕があると判断した。以上の事前評価より、トンネルに対しては特別の補強対策を講じず、計測施工による安全管理を行った。この結果、工事中はもちろんのこと盛立後1ヶ月を経ても計測値に影響は見られず、近接工事は無事終了した。本成果を報告するとともに、既設トンネルに対し、本件のような偏荷重が作用する場合の近接度区分設定法について、一提案を行うものである。
キーワード
近接施工、鉄道トンネル、営業線、道路盛土、偏圧地形、偏荷重、影響予測、計測管理