新しい吸音構造による低層型吸音壁の開発

株式会社 サンケンスチール    伊藤 信三
○ 三羽 康夫

論文要旨

 現在、遮音壁は吸音素材としてグラスウールを内包した金属製吸音板が標準的になっている。しかしながら、現状の遮音壁よりももっと騒音を低減することができ、耐久性に優れた、高性能な吸音壁が求められはじめ、幾多の研究・開発がなされている。筆者はそのようなニーズをいち早く感じ、平成7年から新しい形の吸音壁の開発に取り組んできた。吸音壁の開発研究にあたって二つの重要なポイントに主眼を置いた。一つは音をできるだけ多く取り込むこと、もう一つは吸音パネルに入った音を逃さないことである。二つのポイントを満足するための吸音壁の形状や材質を調査、探求していく中で、吸音材料そのものの形状を変えることで吸音性能をアップできるのではないかと発想した。テーマを「形で騒音レベルを下げる」に絞り、土木に比べ多くの研究がなされている建築音響学の文献・資料なども参考にした。
 特殊形状(凹凸状)の吸音材料を使用した孔明き吸音パネルを発案し、吸音試験や屋外での実物実験を行ない、非常に吸音効果のある結果を得ることができた。新しい吸音構造を持った「低層型吸音壁高欄」として、その研究の内容、実験によって推測した騒音低減効果、設置例などを発表する。

キーワード

低層型吸音壁、音を取り込む、音を逃さない、形で騒音レベルを下げる、特殊形状の吸音材料