比抵抗映像法を用いた山岳トンネル地質調査

応用地質株式会社 西日本技術センター 探査技術部 ○ 高橋 貴子

応用地質株式会社 京都支店   和久野正人

住宅都市整備公団 関西支社 関西文化学術研究都市事業本部 工事部 都市施設課   並川 秀隆

大成建設株式会社・株式会社奥村組 建設工事共同企業体 井関川トンネル作業所   小川 哲司

論文要旨

 砂および粘土の互層が主体の大阪層群が分布する地域で土砂NATMにより山岳トンネルが施工された。このトンネルの呑口側からの施工の際に、湧水を伴う流砂が著しいため切羽が自立せず、補助工法として地下水位低下工法やウレタン系薬液注入による地盤改良が行われた。しかし、切羽の不安定性が解消されず、掘進困難な状況が続いた。また流砂を起こしやすい砂層の分布が事前調査で予想された以上に厚く分布するため、掘進を続行するには、改めてこの砂層の分布範囲と物理的・力学的特性を把握することが急務となり、本調査を行うこととなった。
 本調査では、地表地質踏査及び調査ボーリングによって本地域の堆積層形成過程を明らかにし、土質による抵抗抗値の違いを利用した低抵抗映像法探査及び高精度電気検層によって工学的に問題となる砂層の分布範囲を推定した。また、現場透水試験、孔内水平載荷試験、室内土質試験により、この砂層の土質特性を明らかにした。
 施工の結果、砂の分布、性状は本調査で想定したものとよく一致し、比抵抗による地山評価の妥当性が確認された。

キーワード

山岳トンネル、土砂NATM、砂層、流砂、比抵抗値、補助工法