自然林の斜面保全機能を考慮した斜面防災計画

パシフィックコンサルタンツ株式会社 ○ 東郷  智
戟  忠希
山田耕治

論文要旨

 森林のもたらす山腹崩壊への影響は、崩壊の深さによって異なる。すべり面が浅い表層崩壊の場合には、森林を構成する樹木群の土壌緊縛力の低下が崩壊の発生に大きく関与することが通例である。しかし、樹根の土壌緊縛力に対する評価は、活発な研究がなされているが、定量評価を行うには至っていない。
 当該斜面は、緑地保全地区であり、斜面防災を図るとともに森林環境の保全が求められた。表層崩壊防止計画の立案において、表層崩壊と植生の関係を詳細に把握する必要があった。このため、地形・地質状況、植生分布、植生遷移の予測から表層崩壊と植生の定性評価並びに森林の保全育成を基本とした斜面防災計画を行った。

キーワード

森林土木的手法、森林による斜面崩壊抑止効果、土壌緊縛力、植生遷移、優占種