新規利水上乗せに伴うため池の運用手法
若鈴コンサルタンツ株式会社 第二事業本部 三井 義則
○ 奥田 康博
論文要旨
我が国の降水量は、少雨傾向にあり、水質源の有効利用が求められる。水質源の利用には、水源施設の建設が必要であるが、ダム適地が皆無に近いことや環境問題等課題が多い。これに対し、ため池は、ヶ所数も多く多額の建設費を必要しないことから今後益々重要な水源施設になると考えられる。
現在、大半のため池は、地元農家の管理運用によって、農業用水に使われている。運用は、長年の経験則に基づいて行われているが、新規水源をため池に求めるに当たっては、既存利水者と新規利水者の間に問題が生じないよう、改めてルール化する必要がある。
本論文では、ため池運用ルールとして、「標準運用曲線」と「渇水要貯水量曲線」を活用した手法を提案する。標準運用曲線は、標準的な池貯水量変化を示した曲線である。渇水要貯水量曲線は、池貯水量がこの曲線を下回ると、将来、取水が困難になる貯水量を示す曲線である。この2つの曲線の作成により、新規利水可能量を推定でき、適切なため池運用が可能と考える。
キーワード
ため池、新規利水、標準運用曲線、渇水要貯水量曲線