電気化学的手法によるコンクリートの補修に関する実証的研究
ジェイアール西日本コンサルタンツ 北後 征雄
○ 藤原 申次
論文要旨
劣化の進行した鉄筋コンクリート構造物は、その与えられた用途に対して供用を図りながら補修,補強策を練り、実行していく必要がある。本研究は、鉄筋コンクリート構造物に生じる変状として鉄筋腐食に着目し、その対策として述べるものである。既設コンクリート構造物において、電気化学的手法を用いたデサリネーション・再アルカリ化の施工によって、どのように改質されるかについて調査を行い、処理後5年間の追跡緒果について報告を行う。その結果、デサリネーション・再アルカリ化を実施することによって、実構造物の鉄筋周辺におけるpH値は12.6〜13.2とアルカリ領域へ移行され、コンクリート中の可溶性塩分も0.47〜0.56kg/m3に減少した。処理後60ヶ月の時点においても含有塩分量にほとんど変化は認められず、鉄筋の背後における顕著なシャドースポットは認められなかった。
キーワード
鉄筋腐食,補修,自然電位,分極抵抗,デサリネーション,再アルカリ化