保有水平耐力法によるRC橋脚の耐震補強対策及び設計の方針について
東洋技研コンサルタント梶@○ 渡辺 信也
〃 糟谷 恭啓
〃 宮崎 平和
〃 島田 功
論文要旨
RC橋脚の保有水平耐力法による耐震補強設計は,予期しない大規模な地震力によって脆性的な破壊が生じないような破壊形態を基本としている。まず橋脚の靱性を向上させ,曲げ耐力が過度に上がらないように基礎への影響も考慮し補強工法を選定しなければならない。そのためには,既設RC橋脚の破壊形態や不足している耐力を把握し,破壊形態の変更や靱性の向上,または耐力の向上が期待できる適切な補強対策を実施しなければならない。
本報告書では,RC橋脚の破壊形態別による補強要因図や補強計算例を整理し,今後における耐震補強設計の設計方針の立案について参考となるように取り纏めた。計算例では,可動橋脚のように軸方向鉄筋が少ない橋脚は,靱性補強を目的としたRC巻立てを行うと,終局水平耐力Puがひび割れた耐力Pcや初降伏耐力Pyoよりも小さくなる傾向がある。このような場合は,曲げ破壊先行型を示しても脆性破壊する虞があることを指摘した。また,基準の移行では,平成14年度の道路橋示方書耐震設計編XにおけるRCラーメン橋脚の面内終局定義を取り上げ,旧基準と比較検証を行い,新基準では過度な靱性評価が抑制できることを指摘している。
キーワード
RC橋脚,耐震補強設計,保有水平耐力,破壊形態,補強要因