人工地盤における浅層反射法探査の適用例

応用地質 関西支社 廣部 安之

応用地質 関西支社 ○ 西村 修

論文要旨

 盛土や廃棄物処分場等の人工地盤の分布範囲を探るため、弾性波探査の一種である浅層反射法探査を実施した。事例1の基盤は、更新世〜鮮新世の砂礫層で、山砂利採取跡をその残土で最大50m程度の厚さまで埋土されている。ここに道路建設による掘り割り工事が計画され、切土と埋土層分布の関係を把握するために適用した。埋土層の底面には強い反射面が現れ、概ね人工地盤の深度を把握することができた。しかし、砂利採取の掘削形状が変化に富み、特に掘削面が急勾配と推定される部分では明瞭な反射面が得られなかった。
 事例2は廃棄物処分場の遮水シートの位置を推定するために適用した。基盤は丹波層群の砂岩頁岩互層であり、人工地盤は不近質な廃棄物と中間覆土の互層である。処分場最深部以外のデータでは計画図面にほぼ一致する深度まで反射面が認められたが、最深部では廃棄物内に弾性波の減衰が大きい地盤が存在し、明瞭な境界を捕らえることができなかった。
 人工地盤に浅層反射法探査を適用する場合、人工地盤の分布および性状を充分に考慮しながら計画する必要があるとともに、データの信頼性が乏しいと予想される場合には他の調査法との組み合わせで解釈していく必要がある。

キーワード

浅層反射法探査、人工地盤