空中電磁法の斜面調査への応用事例
大日本コンサルタント ○ 河戸 克志
大日本コンサルタント梶@ 淺井 聡
論文要旨
本論文では,地すべりや崩壊などの斜面災害が発生した個所あるいは発生の可能性がある斜面を抽出し,その分布と地盤性状,地下水位などの内部情報の取得を目的として実施した空中電磁法による斜面調査の事例を報告する。既往の地形判読,地質踏査およびボーリング結果との対比により,粘性土を主体とした地すべりと岩盤地すべり地域について検証した。その結果,空中電磁法による比抵抗構造は微地形をはじめとする地すべり地形に合致するばかりでなく,地質の分布とも調和的であることがわかった。また,比抵抗断面解析では地すべり土塊の厚さを巨視的に把握できることが確認された。このことから,空中電磁法は,地すべりや崩壊などの斜面災害が発生した場所での斜面の内部情報の取得に優れていることがわかった。したがって,地形判読や地質踏査結果を参考に空中電磁法で得られた比抵抗3次元構造と被災履歴との関係を検討することで,予想される今後の被災規模ばかりでなく,同種の地すべりや崩壊の発生が懸念される個所の抽出が可能となり,総合的な斜面管理に有益な情報をもたらすことが期待される。
キーワード
空中電磁法,比抵抗異常,斜面地質調査