河床変動の著しい基準地点での低水管理について

褐嚼ン技術研究所 漆谷晃樹

論文要旨

 従来までの降雨とは異なる形態の降雨の頻発や環境的配慮にもとづいた放流量の調整等、ダム貯水池には計画当初とは異なる要望がなされている。さらには、昨今の経済状況を勘案して、既存インフラの有効利用が求められており、その一環としてダム貯水池に対しては低水管理の効率化が求められている。

 仁淀川水系の大渡ダムでは、低水管理基準地点である加田は、河床変動の大きい地点であり、流量管理が困難な場所にある。そのため、新たなH~Q式が作成されるまでの間約5m3/sの過放流もしくは過小放流が行われていることが明らかになっている。

 こうした環境にある大渡ダムの低水管理において、効率的な低水管理を行うことを目的として、ADCPを利用した詳細な流況観測を実施し、流動特性を十分把握したうえで河床変動が発生した場合のH〜Q式を数値解析モデルから求める手法について検討を行った。本稿はこれを報告するものである。

 

キーワード

低水管理、ADCP、流量観測、一般座標形平面2次元不定流計算