アユのライフサイクルと魚道機能
㈱建設技術研究所 松川 徹
論文要旨
河川における生態系ネットワークを確保するために、河川横断工作物に設けられた魚道の機能を評価することが重要である。そのためには、構造物とその周辺に生息する動物との関係を十分に把握し、動物のライフサイクルに則した利用ができているか評価を行い、問題点の改善へと結びつけていく必要がある。
本報では、堰に設けられた魚道のモニタリング調査として、アユを対象とした春の遡上調査と秋の産卵調査を実施し、魚道機能の評価を行った。
その結果、小型魚から底生魚まで多様な魚類の遡上が確認されたこと等から、魚道機能の有効性を示した。さらに、魚道内の流速分布と魚の遊泳力から、おおよその遡上ルートを推定した。一方、秋の調査では、アユの産着卵およびその周辺環境を確認して産卵に適した条件を示し、さらに流下仔アユの日齢査定により、仔アユの流下・滞留状況等について考察した。
ALIGN="JUSTIFY">キーワード
魚道，回遊，アユ，遡上調査，流下仔魚