本研究は、風土に備わる自然水利を生かしながら、歴史ある日本の木造都市を地震等による大規模火災から守り、美しく安全な都市環境を実現するための防災水利整備に関する計画策定手法の確立を目的とする。実践的な整備計画の策定手法を検討するため、具体的にケーススタディ地域(文化遺産)として地震火災被害の危険性が高く、かつ伝統的な木造建造物群が面的に密集している産寧坂重要伝統的建造物群保存地区を選定した。地域特性を把握した上で、阪神・淡路大震災における教訓を踏まえた3つの消火活動段階(初期消火、公設消火、延焼防止)に対して多重的な活動を可能にし、多元的な水源を確保することを念頭に整備方針の導出を行った。そして、想定される消火能力の評価を通じて、実現可能な整備計画案を策定した。
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