岩盤崩壊により不安定化した洞門工の災害復旧事例と安全管理について

論文要旨

和歌山県東牟婁郡古座川町では平成14年1月20日から21日にかけて時間最大39mm、連続雨量157mmの異常降雨があり、生活道路となっている町道の洞門工に岩盤が崩落した。岩盤崩落の衝撃により洞門工は19スパンにわたって破損した。洞門工は倒壊には至らなかったが、主桁には約300m3、720tの岩塊が堆積したままの状態となった。被災直後より路面には延長63mの亀裂が発生し、拡大傾向を示していたため、岩塊崩落の衝撃により洞門工の基礎岩盤にすべりが発生したと推測された。すなわち、洞門工は非常に不安定な基礎の上に、主桁等が破損した状態で、なおかつ巨大な岩塊を載せたまま辛うじて建っている状態にあると推察された。さらに斜面には崩落した岩塊と同程度の規模の不安定岩塊が残存しており、洞門工は極めて危険な状態にあった。災害復旧事業では、計器観測による安全管理を実施し、不安定化した洞門工に支保工を施した上で崩落岩塊を撤去した。その後法面対策工を実施し、斜面の安全を確保した上で洞門工の復旧と基礎部の補強を行った。本稿では、当地における災害復旧事業の概要を示すとともに、施工中の安全管理方法について述べる。

キーワード

岩盤崩壊、ロックシェッド、破断センサー、支保工、災害復旧事業