第38回 研究発表会論集 要旨 <交通・計画系 1〜12> ※9は欠番

1.振動シミュレーションソフトを用いた既設橋梁の振動抑制

論文要旨

本論文は、ランガー橋について、振動シミュレーションソフトを用いて解析を行い、振動抑制のための補強工法の検討を行った結果について報告するものである。

キーワード

既設橋梁,振動シミュレーション,鋼ランガー橋,振動抑制



2.外部コストを組み入れた立体交差点改良案の検討報告

論文要旨

社会資本の整備は、国民の福祉と厚生に様々な便益をもたらしている一方で、環境保全への負の影響や工事に伴う騒音振動あるいは交通渋滞等という悪影響を与えることもある。国民の価値観の多様化と環境保全への意識が年々高まるなかで、これらの影響を十分に配慮することが求められている。このような観点から、渋滞対策、事故対策を事業目的とした交差点改良予備設計において、施工時の渋滞等の外部コストを組み入れた交差点改良案の検討事例を報告するものである。主な項目は、次のとおりである。@施工時の渋滞損失額算出A日照の影響による補償額算出

キーワード

外部コスト,総合的な建設事業コスト,施工時の渋滞,日照補償



3.自主防災から始める緊急対応型防災まちづくりに関する取り組み

論文要旨

本論文は,自主防災をテーマとした防災まちづくりに関するワークショップの企画,運営手法について,報告するものである。本業務は,平成16年度全国都市再生モデル調査の一つとして,大阪府下の密集市街地である2地区にて実施されたものである。ワークショップにおいては,防災まちづくり支援システムを住民向けに活用し,各地区での震災の影響をシミュレーションし,それを公表することにより,自らの生命と財産を守るための取り組みを,住民自ら考えることにつなげていくことを目的とした。現状の評価として,防災まちづくり支援システムを活用することにより,自助,共助の観点からの,住民の防災意識の高揚,およびまちの課題認識の共有化が円滑に行うことが可能となり,住民による防災まちづくり活動を行っていくうえでの有効性を確認することができた。

キーワード

防災,住民参加,まちづくり,防災まちづくり支援システム



4.コミュニティバスに関する運行路線の計画事例

論文要旨

コミュニティバスの運行は、大都市内や地方中核都市において、地域住民や交通弱者への利便性向上を目指して広がりつつある。一方、マイカー依存度が高く人口規模の小さいまちで、コミュニティバスの運行をどのように計画・立案するかは、今後のコミュニティバス展開において大きな指標になるものと思われる。本稿は、人口1万人規模のまちで、住民の意向を最大限に取り入れ、バス停は各集落に1箇所以上設置するなど、地域コミュニティや公共福祉に配慮し、所要時間やシームレス性を勘案した3系統の路線を計画・提案した内容について、報告するものである。なお、コミュニティバスは、2004年10月1日から運行を開始しており、地域住民の方に好評である。

キーワード

コミュニティバス,地域コミュニティ,シームレス性,路線計画



5.VRを用いた旅行速度調査データの活用

論文要旨

国土交通省では各事務所において,GPSを用いた旅行速度調査を実施しており,過去数年に渡りこのデータを集積している。これらのデータは,センサス区間の平均速度として処理され,混雑度との比較や,渋滞損失の算定等に利用されている。しかし,近畿地方整備局管内において採用されている旅行速度データ取得システムにおいては,実際には1秒毎に時刻,位置,速度,進行方向の情報を取得しており,本来計測しているデータを大きく平均化しての利用にとどまっている。わが社においては,独自開発のVR(バーチャル・リアリティ)技術を用いてこれらの情報の3次元的な可視化を行ない,地形図上に表示するシステムを開発し,昨年度受注した旅行速度調査業務において実用化した。更に,この技術を発展させ,旅行速度データのKTXファイルから渋滞箇所特定を行うシステムを構築した。このシステムを用いる事により,季節や時間帯,進行方向など,任意のパラメータによる渋滞状況の視覚的認識が可能となったうえ,過去に蓄積されたKTXファイルの活用幅も広がった。

キーワード

旅行速度,VR,KTX,渋滞箇所特定,可視化



6.交通結節点の評価に関する基礎調査

論文要旨

交通結節点は異なる交通手段間の乗り継ぎを行う空間であり、その乗り継ぎ行動は歩行で行われ、基本的要件として、より短時間に快適に行われることが望まれている。しかし近年の交通結節点整備の動向を見ると一概に時間短縮だけが評価の対象とならなくなってきた。そこで、交通結節点における歩行者移動経路(通路、階段、エスカレータ、休憩施設、上屋有無、情報提供の有無、等)に着目し、乗り継ぎの行い易さや快適性を評価するため、各歩行空間移動の水平移動への換算評価データ(等価時間係数)を用いた評価手法を検討するとともに、評価指標を得るためのケーススタディを行い、交通結節点の乗り継ぎ易さを計測する手法としての有効性を検証した。

キーワード

交通結節点,歩行者空間,評価指標,評価手法



7.「斐伊川放水路の保全・整備計画」の中間とりまとめ

論文要旨

島根県の東部を流れる斐伊川及び神戸川では、治水事業の3つの柱(3点セット)である@上流ダム群の整備、A斐伊川放水路の建設及び斐伊川の改修、B大橋川及び中海・宍道湖の改修、が現在行われている。その柱の一つである斐伊川放水路は斐伊川の洪水をその西側を流れる神戸川に分流し日本海に流下させるためのものであり、現在改修が行われており築堤が概ね概成し、現在河道掘削が行われている。斐伊川の洪水も負担することとなる神戸川(斐伊川放水路)は現況の川幅の約1.5倍程度となり、また、高水敷が白地の状態でほぼ全川的にできることとなる(約11kmに亘り、左右岸の高水敷幅の合計は約100m)。本報告では、新たにできる高水敷の利用計画について、住民代表の方との合意形成を図った利用計画の策定にむけ、その運営方法や計画を検討する上での留意点などについてとりまとめたものである。

キーワード

治水事業,高水敷利用計画,合意形成



8.アウトカム指標を用いた高規格幹線道路の整備効果の検討

論文要旨

近年、我が国の道路整備事業においては、厳しい財政状況を背景として、効率的かつ効果的な事業実施が必要であるとともに、事業により得られる効果・成果を国民にわかりやすく説明することが求められている。本検討は、渋滞損失時間や第3次医療施設60分到達人口カバー率などの様々なアウトカム指標を用いることにより、広域的な位置づけにある高規格幹線道路の整備効果について国民の視点から客観的に評価したものである。

キーワード

アウトカム指標,高規格幹線道路,整備効果



10.歴史的建造物「平木橋」の価値評価及び保存手法の検討

論文要旨

本論文は、新設道路の建設の支障となる石と煉瓦を組み合わせた単アーチ水路橋「平木橋」(1915年(大正4年)築造)の歴史的建造物としての価値評価と保存方法についての検討をまとめたものである。      歴史的建造物としての価値評価については、まず、近代土木遺産選定(土木学会)に用いられる技術、意匠、系譜の3つの評価軸で検証し、検討委員会における審議の結果、平木橋には土木構造物としての歴史的価値があるという評価が得られた。これより、平木橋の歴史的価値を残し、継承していくのにふさわしい保存方法を決定するために、平木橋を現在の状態のまま現位置で保存する「現位置保存」と現在と違った場所で保存する「移設保存原型」について、それぞれの保存方法の基礎条件を整理するとともに、長所、短所を検討し、保存方法の決定に向けて着目すべき点、考察すべき点について整理を行った。

キーワード

歴史的建造物,保存手法,周辺環境整備,アンケート調査



11.行政と住民のパートナーシップで美しい道路・河川の環境をつくる「アドプト・プログラム」の展開

論文要旨

ゴミのポイ捨てなどによる環境悪化が深刻となる中、美しい公共空間づくりが求められている。一方、限られた財源で、質の高い道路・河川の環境を維持するためには、新しいカタチでの取り組みが必要とされる。そこで、道路・河川の美化を目指し、地域のボランティアの方々とのパートナーシップによる「アドプト・ロード&リバー・プログラム(Adopt Road & River Program)」の展開を実施した。具体には、アドプト活動が最も活発な大阪府泉北地域において、アドプト参加団体のモチベーションアップ手法の実践、高校生とゴミ問題を考えるワークショップの実施、さらに展開した取り組みとして、公民協働による「道しるべ」の設置、を実施した。その結果、大阪府域におけるアドプト参加団体数は徐々に増え、鳳土木事務所管内だけでも160 団体を超えるまでに拡がった。このような、アドプト・プログラムを中心とした公民の協働による様々な取り組みを通じて、都市基盤施設の整備や維持管理に対する理解、まち美化に対する輪の拡がりの可能性を見出すことができた。

キーワード

アドプト・プログラム,市民参加,ボランティア,ワークショップ,維持管理



12.合併新市における総合計画の策定手法・支援方策の研究

論文要旨

市町村合併を契機に新市(町)施工後の「新総合計画」策定が活発化してきている。市町村合併時に策定された「新市(町)建設計画」を踏まえながらも、新市(町)として緊縮財政見通しを反映した合併特例債事業の見直しや、新市(町)長の政策方針(マニフェスト)を盛り込んだ計画策定の動きも見られる。そのような中で旧市町の総合計画、新市(町)建設計画、新総合計画の関係性が必ずしも明確に位置づけされずに移行してきており、特に、基本構想における都市の将来像(基本理念)、基本目標等の施策大綱において、十分な検討がなされてきていない状況が見られる。そこで本研究は、新総合計画策定における計画体系化づくりのあり方を考察し、現状の問題、課題を指摘するとともに、新たな計画体系化としての成果目標明示型総合計画の提案と、新市において経験した計画策定のプロセス、手順に基づく、効果的な策定方法について提言を行うものである。

キーワード

市町村合併,新市,総合計画,政策・施策体系